オリンピック特需の建設業界。建築資材メーカーなら未経験の電気・機械系エンジニアにも活躍できる可能性


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


2016年も4月に入り、あと3~4カ月もすればリオデジャネイロオリンピックが開催されます。

そのリオの次、2020年の東京オリンピックに向けて、好景気に沸いているのが建設業界。オリンピック関連のさまざまな施設を建設するニーズが生まれ、関連業界も盛り上がってきています。

そんな建設関連の業界の中に、電気・機械系メーカーなどで働くエンジニアが未経験から転身しても活躍できる可能性がある業界があります。ドアやシャッターなどを取り扱う建築資材の業界です。

東京オリンピックやリフォームで、エンジニアニーズが増加

建築資材を手掛けるメーカーは、これまで中途で人材を採用することはほとんどなく、基本的にエンジニアを新卒で採用して育ててきました。

それがオリンピック特需による人手不足の影響もあってか、最近になって中途採用に力を入れるようになっています。

「オリンピックが終われば、日本は人口が減少し始めたのだから、次第に仕事がなくなっていくのではないか」と心配する人もいるかもしれません。けれど、そうは言っても日本には1億人以上が住んでいるわけですから、新築やリフォームなどのニーズは絶えないでしょう。建築資材の市場が急速に縮小するとは考えにくいです。

しかも、リフォームの際に、「ドアはもっとこんな感じで。やっぱりあんな感じで」と自分自身のこだわりを満たそうとする消費者は増えてきています。そうしたこだわりにできるだけ応えられるように、関連メーカーは取り扱う製品の種類をできるだけ増やそうとしているところ。エンジニアの仕事量は増えてきている状況で、しばらくエンジニア採用のニーズが減ることはないだろうと予想できるのです。

CADさえ扱えれば十分。業界特有のノウハウは入ってから習得可能

ドアやシャッターなどの建築資材を設計・開発するエンジニアには、それほど特殊なスキル・経験は要求されません。CADを扱うことができれば、業界未経験であっても戦力として必要とされる可能性は十分にあります。

ただ、日々の生活の中で使われるものですから、安全性に対する配慮は必要です。業界特有の設計・開発ノウハウも身に付けなくてはなりませんが、そうしたものは業界に入ってからでも習得できます。業界未経験のエンジニアにとって、それほど参入障壁が高くない業界だと言えるでしょう。

もう1つ、建築資材関連のエンジニアになる上で求められるものがあるとすれば、製造現場とコミュニケーションを取りながら加工・組み立てしやすい設計を心掛けること、そしてお客様から寄せられた既存製品への感想を踏まえてより使いやすい製品になるように気配りする姿勢です。

原理原則に従って論理的に設計していくよりも、お客様や社内外の関係者が「この製品は好きだ」と感覚的に思ってくれるように、さまざまな人とコミュニケーションを取りながら設計・開発していく感性やコミュニケーション能力が評価される仕事なのです。

「1人で1製品」を設計・開発できるところにやりがい

自動車などの大型製品であれば、1製品の設計・開発に数百人のエンジニアが携わることになり、1人のエンジニアに担当できるのは「自動車に使われる○○の一部品」ということになりかねません。

一方、建築資材を設計・開発する際は、1人で1製品を担当することがほとんどです。「この製品は、自分が設計・開発したものだ」と仕事の成果をはっきり目で見えるので、そこにやりがいを感じるエンジニアは多いです。

ただ、成果がはっきりと目で見える分、お客様からのクレームも1人で受け止めることになります。何か問題が起こったら、営業担当者からの小言、お客様からの非難を最終的には自分1人で受け止めることになりかねません。

そのように「1人で1製品を担当する」ことには一長一短あるわけですが、それでも「この製品は、自分が設計・開発した」と言いたい欲求を抱えているエンジニアにとって、建築資材関連のメーカーは魅力的な職場になると思います。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

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