未経験からCMOS関連の仕事に就ける? 可能性ありなのは画像処理システム開発やプロセスエンジニア


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


CMOSイメージセンサまわりのキャリア動向について取り上げてきましたが、最後に「未経験だがCMOS関連の仕事に興味がある」というエンジニアがこの世界に飛び込むための方法について考えてみます。

未経験者にも可能性があるのは、画像処理システム開発やプロセスエンジニア

まず、CMOS自体、および周辺回路を設計・開発する仕事に就くには、アナログとデジタルが混在する回路を扱った経験が必要になります。

この条件は譲れませんから、残念ながら、簡単に未経験者が飛び込める仕事ではありません。

一方、CMOSで得た画像データを処理するシステム開発の業務については、門戸を広げて人材採用してもいいと考える企業が比較的多いようです。

「大学で画像処理について勉強したことがある」「何らかのアルゴリズムを開発してきた」「演算処理用のプログラムを組んだ」など、間接的にでも業務に役立ちそうな能力・経験があるとアピールできれば、直接的な経験がなくても「戦力になれる」と評価してもらえる可能性が高いはずです。

なお、画像処理システムを開発する業務は開発工数が膨大な量になりますから、設計請負の会社やエンジニア派遣会社などがかなりの量の業務を受け持っている場合があります。

また、そうした会社が保有する仕事はさまざま。プログラムが書ければ対応できる試験評価用の簡単なプログラム開発などの仕事から、高度な専門性が求められる仕事まで、幅広くあります。

そこに飛び込んで経験・実績を積み重ねて自分を磨いてから、あらためて自分の進むべきキャリアを考えるというのも1つの選択肢でしょう。

また、机上で考えられたCMOSの設計を具現化するところ、工場で効率的に生産する技術を考えるところで活躍するプロセスエンジニアに対するニーズも強いです。

プロセスエンジニアについては、未経験者も応募できる20代の第二新卒を対象とした求人情報が出てきています。そういった形での関わり方も視野に入れられるのであれば、未経験からでも活躍できる可能性は高くなります。

CMOS単体ではなく、システム全体を優先して考えられる人材が求められるように

ここまでに挙げたようなCMOS関連の仕事の中で、今後求められてくるのは「システム全体を把握した上でCMOSのことを考えられる人材」でしょう。

前回の記事で触れたように、CMOSはスマートフォン以外にも、自動車や医療機器、製造ラインの検査装置など、さまざまな用途で使われるようになっています。センサとしての機能性を研ぎ澄ませていくよりも、さまざまな用途に応用して用途ごとに浮上してくる課題を解決していくことが重要なフェーズを迎えているのです。

例えばスマホに使うのなら、「画素はどれくらいあれば十分なのか」「ユーザーが『きれい』と感じてくれるように画像処理するためには、どうすればいいのか」と実際の利用シーンを踏まえて自分の業務と向き合うことが大切。「とにかく、CMOSの性能を向上させることだけを考えて、画素数をこれだけ増やしてみた」とCMOSのことだけを考えるのではなく、システム全体のことを理解した上で、自分の仕事で求められることを考える。そんな姿勢が求められてくると予感しています。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
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