TMT、テクノロジーを含む3分野の市場規模を予測

デロイト トーマツ コンサルティングは2016年4月4日、デロイト トウシュ トーマツ リミテッドのテクノロジー・メディア・通信(TMT)グループが発行したレポート「TMT Predictions 2016」の邦訳版を発表した。同レポートでは、テクノロジー・メディア・通信の3分野から計17のトピックスを取り上げ、分析結果や市場予測をまとめている。

テクノロジー分野

グラフェン:グラフェンは、グラファイトを単離した原子一層分の薄さの2次元材料で、優れた高張力、柔軟性、電気伝導性、熱伝導性、光学特性を兼ね備え、奇跡の素材と呼ばれる。TMTは2016年のグラフェン素材市場規模を1000万〜5000万ドルと予測している。同素材の主な用途は、中長期的にはグラフェン電池、赤外線コンタクトレンズ、強化建設資材、グラフェンタッチスクリーン、グラフェン浄水システム、高機能絆創膏などだ。

IT職の女性たち:先進諸国でIT関連の職種に就く女性の割合が2016年末になっても25%以下にとどまると予測している。男女比の偏りの要因として、学校教育、採用と雇用、報酬と昇進、勤続の課題を挙げた。この水準は2015年からほぼ変わりなく、場合によってはさらに低下する可能性もあるという。

ミレニアル後半世代:2016年には全年齢層の中でミレニアル後半世代(18-24歳)がPC支持派の筆頭になる可能性が高いと予測している。2016年におけるPCの年代別所有率、購入意思、使用率は、ミレニアル後半世代が他の全年齢層を上回る可能性が高いという。

タッチコマース:2016年には、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスでのショッピング時に、サードパーティが提供するタッチ式決済サービスの利用者が150%増加し、定期利用者は5000万人に到達すると見込む。

コグニティブ(認知)技術: 世界の法人向けソフトウェアメーカーの売上高上位100社のうち80社以上が2016年末までに自社製品にコグニティブ技術を採用すると予測している。2020年までには、上位100社のうち約95社まで増加する可能性があるという。

メディア分野

バーチャルリアリティ:TMTは、バーチャルリアリティ市場が2016年に初めて10億ドル規模に到達すると見込む。内訳はハードウェア売上が約7億ドルで、残りがコンテンツ売上だとしている。

モバイルゲーム:モバイルゲームの推定売上高は、前年比20%増の350億ドルと予測している。一方、PCゲームは320億ドル、コンソールゲームは280億ドルで、それぞれの前年比伸び率はわずか5%と6%となっている。ただし、ゲーム1タイトルあたりの平均売上高にはプラットフォームごとに大きな違いがあり、コンソールゲームは480万ドル、PCゲームは290万ドル、対してモバイルゲームはわずか4万ドルと見込む。

モバイル向け広告ブロッカー:2016年末までに広告ブロッカーを利用するモバイルデバイスユーザーは全体のわずか0.3%だと予測している。その結果、700億ドルのモバイル広告市場のうちで影響を受けるのは1億ドルに満たない部分(0.1%)としている。

デジタルメディア時代における映画興行収入:米国とカナダの映画館入場料収入が2016年に前年比約3%減の106億ドル程度、チケット販売枚数にして約13億枚になると予測している。

米国テレビコンテンツ市場:米国テレビコンテンツ市場は2016年におよそ1700億ドルになり、縮小はしても崩壊することはないと予測している。

欧州サッカー市場:2016〜2017年の欧州プロサッカー市場が300億ドル(270億ユーロ)の売上規模になると予測した。これは2011~2012年と比べて80億ドル(70億ユーロ)の増加で、年平均成長率は7%だという。

eスポーツ:eスポーツは、特にプロゲーマーがコンピューターやビデオゲームを使って対戦するスポーツ競技だ。2016年には観戦者が1億5000万人近くに達し、世界市場規模が前年の約4億ドルから25%増加の5億ドルになると見込んだ。ただし、この数字は欧州のサッカーや米国のフットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケーといったメジャースポーツのリーグ全体売上高(40億~300億ドル)と比較するとごくわずかにすぎない。

テレコミュニケーション(通信)分野

画像共有:2016年にはオンライン上で共有または保存される画像が2兆5000億枚となり、2015年を15%上回ると予測している。このうち約75%が共有、約25%が保存だという。こうした画像の90%以上がスマートフォンでの撮影、残りがデジタル一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、タブレット、ノート型PCの合算であると予測した。

ギガビットインターネット時代の夜明け:ギガビット/秒インターネット接続の利用者は料金/サービス体系の拡充や価格低下により2016年末までに1000万人と10倍に急増し、うち約70%が住居用と予測している。長期的にみると、2020年にはギガビット/秒接続が可能なネットワークの利用者は世界中で約6億人に達し、家庭でのネットワーク利用者の大半になると見込んだ。

中古スマートフォン:2016年に消費者が売却または下取りに出す中古スマートフォンが約1億2000万台、1台あたり平均価格が140ドル、取引総額が170億ドルを超えると予測している。2015年は取引台数が8000万台、1台あたり平均価格が135ドル、取引総額が110億ドルだった。

データ通信オンリーユーザーの増加:2016年には先進国のスマートフォンユーザーの中で1週間に1度も通話をしない人は26%になると予測している。これらの人々はコミュニケーションを止めたわけではなく、従来の音声通話を、SMSを含むメッセージのやり取りやインターネット経由の音声・動画サービスに替えているのだという。

VoLTE/VoWiFiの回線容量、普及率、機能:パケットデータを通じた音声サービスを提供する通信会社の数が2016年末までに全世界で100社に達すると見込んだ。これは前年同期比で2倍、前年初頭に比べると6倍となる。ボイスオーバーWiFi(VoWiFi)やボイスオーバーLTE(VoLTE)の利用者は推定3億人で、2016年初頭の2倍、2015年初頭の5倍に増加すると予測している。

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