冨士色素、医療用途に適した炭素系量子ドットの大量生産方法を確立

冨士色素は2016年5月30日、バイオイメージングなどの医療用途に応用できる炭素系量子ドット(カーボン量子ドットとグラフェン量子ドット)の大量生産方法を確立したと発表した。

量子ドットは、量子化学や量子力学に従う独特な光学特性を持つナノスケールの半導体結晶。分子数が10〜1000個ほどの超微細構造(直径1〜10nm)を持ち、人口原子ともいわれている。発色が明るく鮮やかで、広範囲の波長の光を発することができる。

量子ドットの作製方法は数多く報告されているが、いずれも電子リソグラフィーといった高価な方法であったり、強い酸を使ったり精製に手間や時間がかかったりするため、より迅速、簡便な方法が求められていたという。冨士色素が今回確立した方法では、商業ベースのビジネス展開が可能な規模で、炭素系量子ドットを大量生産できるとしている。

カーボン量子ドットやグラフェン量子ドットといった炭素系量子ドットは、特異な蛍光挙動を示す蛍光体として着目されていた。生体の相溶性が高く、何より安全な材料であるため、バイオイメージ画像化、タンパク質分析、細胞のトラッキングなど、生物医学的な用途への利用が見込める。

特にグラフェン量子ドットは、可視光を蛍光として放出するフォトン・アップコンバージョン発光の性質を有しており、生体内部の発光イメージング、生体埋込型光バイオセンサー、太陽電池、人口光合成などへの応用が期待できる。

量子ドットは一般的に、高い量子効率を持ち、幅広い波長を吸収できる。現在、カーボン量子ドットの量子収率は約45%で、グラフェン量子ドットの量子収率は約80%。冨士色素は今後、両量子ドットの量子収率をさらに向上させるとしている。

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