300℃を超える耐熱性のアルミニウム・セリウム合金――アメリカのレアアース生産を加速させる可能性も

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アメリカのオークリッジ国立研究所やローレンス・リバモア国立研究所の研究者たちがつくるチームが、耐熱性が高い上に鋳造しやすいアルミニウム・セリウム合金の研究開発に取り組んでいる。

アルミニウム・セリウム合金は溶融・鋳造する際、合金内にアルミニウム・セリウム化合物を形成。アルミニウム・セリウム化合物は1100℃近くにならないと溶融しないため、耐熱性が高くなる。一般的なアルミニウム合金は300℃付近で安定性を失い始めるが、アルミニウム・セリウム合金はずっと高い温度でも安定しているという。

こうした利点に目を付けて、研究チームはエンジンでの利用を検討している。これまでより高温でも安定して駆動するため、エンジンの燃料効率を向上できる見通しだ。さらにシリンダーブロック、変速機ケース、シリンダーヘッドといった部品もアルミニウム・セリウム合金で製造することでエンジンの軽量化を図れば、間接的にも燃料効率を向上できると期待する。

研究チームは既に、アルミニウム・セリウム合金を使って航空機用と発電機用のシリンダーヘッドを試作。エンジン試験の結果、排気が600℃を超えても問題ないことを確認済みだ。

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しかも、優れた性質を持つ合金は鋳造が難しくなりがちだが、アルミニウム・セリウム合金は鋳造しやすい合金だという。鋳物やダイカストで広く用いられているアルミニウム・シリコン合金と同じくらいの難度で鋳造できるとしている。

アメリカでのレアアース生産を加速させる起爆剤としても期待

これだけ合金としての利点を持つわけだが、アルミニウム・セリウム合金が実用化すれば、レアアース(希土類)世界埋蔵量の14.8%を占めるアメリカで、レアアースの生産が加速することになるかもしれない。

というのも、これまでアメリカでレアアースの生産が進まなかった原因のひとつとして、採掘したセリウムの扱いに困っていたことが挙げられる。

強力な永久磁石の生産に必要なネオジムやジスプロシウムといった市場価値が高いレアアースを採掘しようとしても、アメリカで採掘できる一般的な希土類鉱石には、ネオジムの3倍、ジスプロシウムの500倍ものセリウムが含まれ、希土類鉱石の半分程度を占める。ところが、市場にセリウムの買い取り手がいないため、採掘業者がセリウムの扱いに困り、希土類鉱石の採掘が進まなかったという背景がある。

そんな問題も、アルミニウム・セリウム合金が解決することになるかもしれない。アルミニウム合金産業は巨大なため、アルミニウム合金全体の1%がアルミニウム・セリウム合金になるだけで、セリウム3000トンが利用されるようになると研究チームは試算。セリウムの需要を拡大して市場価値を高めることで、アメリカのレアアース採掘が活性化する可能性があると期待を寄せている。

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New alloy promises to boost rare earth production while improving energy efficiency of engines

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