科学技術振興機構、光で剥がせる接着材料を開発 高温でも接着力を維持

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科学技術振興機構(JST)は2016年7月4日、光に応答して形を変える分子を新たに合成し、光で剥がせるタイプの新しい接着材料を開発したと発表した。高温でも充分な接着力を維持し、紫外光を当てることで数秒で剥がせるため、さまざまな用途に応用できるという。

従来の仮固定用接着材料は、熱で剥がすタイプのものが多く使われているが、高温で接着力を失う欠点があった。この欠点を補うために、光で剥がすタイプの接着材料の開発が期待されていた。しかし、光で剥がれる機能と高温でも接着力を維持する機能を両立する材料の開発が困難であった。

今回の研究では、独自に光応答性の機能分子を設計/合成し、自己凝集力が高いカラムナー液晶を作ることで、紫外線を使った「光剥離機能」と100℃前後の「耐熱接着機能」を両立する、新しい仮固定用接着材料の開発に成功した。カラムナー液晶とは分子がカラム状(柱状)に積み重なった構造を形成しており、比較的流動性が低いタイプの液晶だ。

この新しい接着材料は「ライトメルト型接着材料」と名付けられた。

開発したライトメルト型接着材料を2枚のガラス板に挟んで接着性能を評価すると、室温では1.6MPa(メガパスカル)、100℃の高温でも1.2MPaの高い接着力を示した。一方紫外光を当てると液化に伴って接着力は85%低下し、一般的なLED光源で紫外光を照射すると、わずか数秒間で剥がすことができた。

さらに、160℃で加熱処理することにより再び接着力を取り戻すリサイクル特性を持ち、接着状態と非接着状態を蛍光色の違いで見分けられる蛍光機能も備えている。

今後、スマートフォンなどの透明な部材を高温で加工するなどの製造工程で、仮固定用の接着材料として利用されることが期待されるという。

同開発成果は、JST戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)の「分子技術と新機能創出」領域における、京都大学大学院理学研究科 齊藤尚平准教授らによるものだ。研究成果は英国時間の同日、科学誌「Nature Communications」のオンライン版で公開された。

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