レアメタルを使わずスピントロニクスデバイス開発を可能にする研究成果を発表

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慶應義塾大学理工学部の安藤和也准教授らは、スピントロニクス技術において、これまで不可欠とされてきたレアメタルではなく、自然酸化させた銅を用いることで、その性能を飛躍的に向上させることができたと発表した。科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一環として行われた研究によるものだ。

スピントロニクス技術は、電子の「電荷」と「スピン」の両方を活用するエレクトロニクス技術。電子デバイスを高速化・低消費電力化するとして期待されている。この技術を活用した次世代メモリーとして、不揮発性・高速性・高い書き換え耐性といった性能を備えたSTT-MRAM(スピン注入磁化反転型磁気メモリー)がある。

最近では、このSTT-MRAMの新たな情報書き込み手法として、スピン軌道相互作用に由来するトルク(スピン軌道トルク)を用いる方法が注目されている。しかしこのトルクを作り出すためには、白金などレアメタルとされる物質が必要と考えられてきたため、安定供給の面で問題があった。

今回の研究は、ありふれた金属である銅のスピン軌道トルクの生成効率が、自然酸化させることにより2桁以上も増大し、白金に優る性能を示すことを明らかにした。

強磁性体であるパーマロイ(鉄とニッケルの合金)と銅で構成されるナノ薄膜を用い、スピントルク強磁性共鳴という現象を利用して、この試料中の銅に流れる電流によって生成されるスピン軌道トルクを測定。銅に自然酸化層を生じさせると巨大なスピン軌道トルクが観測され、その生成効率は10パーセントを超え、白金などのレアメタル材料を上回ったという。

今後、スピン軌道トルク増大の機構解明と、酸化に注目した物質探索により、レアメタルを使わないスピントロニクスデバイスの実現につながることが期待できるとしている。

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