海洋研究開発機構など、天然リグニンからバイオプラスチックなどを生産する方法を発見

海洋研究開発機構は2016年12月20日、京都大学、防衛大学校、埼玉工業大学と共同で、海洋から分離した細菌の持つ酵素を組み合わせて利用することで、木材から抽出した天然リグニンからバイオプラスチックなどを生産する方法を発見したことを発表した。

木材などに多く含まれるリグニンは、化石資源に代わる化学品原料として期待を集めている。今回の研究で天然リグニンから初めて酵素生産に成功した化合物は、フェニルプロパノンモノマーと呼ばれる物質だ。従来その活用法については検討されてこなかったが、今回の研究により簡便な化学的手法でバイオプラスチックや医薬/化粧品などの機能性化学品に変換できることが示された。

今回の研究では、駿河湾に沈んだ木片から分離した海洋性細菌ノボスフィンゴビウムBES04株由来の5つの酵素を組み合わせた一連の反応を用いることで、天然リグニンを原料として特定のフェニルプロパノンモノマーを生産することに成功した。

また、リグニンの内部構造は多様かつ複雑なために、リグニンを過激な条件で分解して得られる物質は複雑になり過ぎてしまうことから、高機能な化学的原料としての活用が遅れていた。今回の温和な酵素反応では1種類または2種類のフェニルプロパノンモノマーを選択的に得ることができた。

また、得られたフェニルプロパノンモノマーの1種類であるGHP(グアヤシルヒドロキシプロパノン)に対してシンプルな有機化学反応を行うことで、新規のビスフェノール類やビニルモノマーとその重合体、またアルコール類などのさまざまな誘導体が得られることも示した。この誘導体は、ポリエステルやポリウレタンなど、また医薬品、機能性食品の原料として活用されることが期待される。

今後は、上記リグニン変化酵素の反応のメカニズムの解明と実用性の向上を目指した研究を進める。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る