東大、ボロフェンに質量ゼロの伝導粒子を発見——次世代量子デバイス開発に貢献

東京大学は2017年2月20日、ホウ素の単原子シート「ボロフェン」の中に質量ゼロの伝導粒子を発見したと発表した。これまで、質量ゼロの伝導粒子は原子配列が蜂の巣状の単原子シートにしか生成しないとされてきたが、その配列を持たない単原子シートにも生成することが今回の研究で明らかになったという。

従来の研究では、質量ゼロの伝導粒子の生成には蜂の巣状の原子配列が必要と考えられていた。質量ゼロの伝導粒子を生成する単原子シートとして知られていたグラフェンも、蜂の巣状の原子配列を持つ。しかし、今回の研究はこの概念を覆すものとなった。

研究グループは今回、ボロフェンを銀単結晶基板の上に合成し、その電子状態を光電子分光法によって直接観察した。その結果、雪の結晶が1次元に並んだような原子構造のボロフェンにも、質料ゼロの伝導粒子が生成することが明らかになった。

量子力学の理論計算を行ったところ、ボロフェンに質料ゼロの伝導粒子が生成する理由も判明した。ボロフェンの原子構造の中では、電子が特定のホウ素原子に集中することで、「隠れた蜂の巣構造」を形成していたのだという。

質量ゼロの伝道粒子は、次世代エレクトロニクスの動作原理に欠かせない存在だ。東京大学は、原子シートに基づく新量子デバイスの開発に、今回の研究成果が革新的な設計理念を与えるとしている。

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