理研、殺菌用の深紫外LEDの効率を従来比約5倍に向上 低圧水銀ランプに迫る高効率

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理化学研究所(理研)は2017年2月27日、殺菌用の深紫外LED(発光ダイオード)を従来の約5倍、高効率化することに成功したと発表した。理研が今回開発した深紫外LEDは、現在殺菌灯として用いられている低圧水銀ランプに匹敵する効率を持つ。殺菌や浄水、医療用の携帯紫外LEDランプをはじめ、幅広い応用分野での普及が期待できる。

従来の深紫外LEDの効率は3~4%程度と低い。これは、LED内部で発光した光を外部に取り出す効率(光取り出し効率)が低いためだという。効率を向上させるには、1)LEDのコンタクト層によって紫外光の多くが吸収される、2)電極で紫外光が吸収される、3)素子内の内部反射で光が外に出にくい——この3点を改善がする必要があった。

そこで理研の研究チームは、加工サファイア基板(PSS)上に高品質な窒化アルミニウム(AlN)テンプレート層を結晶成長させ、その上にn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層、発光層、電子ブロック層、透明なp型AlGaNコンタクト層を製膜し、高反射特性を持つロジウム(Rh)電極をp型電極として形成し、LED構造を作製した。

従来型深紫外LEDではp型窒化ガリウム(GaN)コンタクト層が紫外光を吸収するが、これを紫外光に対して透明なp型AlGaNコンタクト層に変更。また、従来型のニッケル/金(Ni/Au)電極を高反射Rh電極に変更することで、電極反射率を約2.5倍に向上させた。さらに、PSS上に素子を形成することで、光散乱効果の高い光取り出し効率を実現。シリコンサブマウント上にフリップチップ構造の深紫外LEDを形成し、光取り出し効率を向上させるための樹脂をレンズ状にコーティングした。

その結果、光取り出し効率が大幅に向上され、従来型深紫外LEDの外部量子効率4.3%に対し、新型深紫外LEDでは20.3%に向上した。この外部量子効率は、現在報告されている深紫外LEDの中で最高の値で、現在殺菌灯として用いられている低圧水銀ランプの効率(約20%)に迫る。

理研は、今後新しい高効率深紫外LEDの市場供給が可能となれば、殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、皮膚治療などへの医療用途や、農作物の病害防止などの農業、紫外線硬化を用いた樹脂形成、紫外接着、3Dプリンター、印刷・塗装、コーティング、高密度光記録、各種計測など、非常に幅広い応用分野での普及が期待できるとしている。

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