豆蔵と東京農工大、産業用ロボットアームの開発期間を短縮する設計手法を実用化

豆蔵は2017年3月10日、東京農工大学との共同研究により、産業用ロボットアームの開発期間を短縮する設計手法を実用化したと発表した。

産業用ロボットアームの開発では、経験に基づいて実機ベースで試作・検証を繰り返すため、完成までに数年を要するのが一般的だ。今回の共同研究では、豆蔵の持つソフトウエア技術やモデルベース開発プロセスと、東京農工大学工学研究院先端機械システム部門・遠山茂樹教授のロボット工学の知識を組み合わせ、少ない実機試作回数で同等の性能を達成する産業用ロボットの設計手法構築を目指してきた。

今回構築した設計手法は、実機の代わりにコンピュータ上にロボットアームのモデル(CADモデルおよびシミュレーションモデル)を作成する。その際、物性や部品特性など、精密なデータを用いてモデリングする。続いてコンピュータ上でそのモデルの動的解析、静的解析、構造解析を行い、結果をモデルにフィードバック。これを繰り返して設計を最適化していき、その設計結果により実機を試作する。

製作された実機に対しては、シミュレーションと同様の性能評価を行い、出力トルク、最高速度、先端の位置精度などの性能の差異を抽出。その結果をシミュレーションモデルにフィードバックして、シミュレーションの精度を高める。

この設計手法により、大型(165kg可搬)、中型(20kg可搬)の6軸産業用ロボットアームの実機試作、実機検証を行ったところ、コンピュータ上でのシミュレーション値と実機での実測値がほぼ一致した。初号機で量産機に近い性能を達成でき、手法の有効性が実証されたという。

今回の共同研究では、同設計手法をロボットアームの開発プロセスとして定義した。これまで各メーカーの暗黙知となっていた開発プロセスを形式知化することで、新規参入メーカーも短期間で産業用ロボットアームの開発が行えるようになる。また同設計手法は、産業用ロボットだけでなく、幅広い分野のロボットアームに適用できるとし、今後、適用範囲の拡大を検討するという。

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