【業種・職種別:1万人残業調査】最も残業が多いのは「教育・保育関連職」。平均で1カ月 32.0時間の残業

~職種により残業時間に差がある製造業エンジニア。制御・ソフトウェア系は27.3時間、機械系は24.8時間、電気・電子系は21.5時間、生産技術は20.2時間~

ポイント

  • 残業が多い業種は「教育」「漁業」「複合サービス」、少ない業種は「医療、福祉」「鉱業」「公務」「電気・ガス」
  • 残業が多い職種は「教育・保育関連職」「農林水産関連職」「経営者・会社役員」、少ない職種は「事務職」「医療・福祉・介護関連職」「総務・人事・経理職」
  • 人工知能で業務量はどう変わる? 製造業エンジニアは「1~2割程度は減る」が最多
  • 人工知能が進化しても、「新商品・機能の開発」「匠の技」「不具合の解決」などの業務は無くならない

調査概要

エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」では、20~59歳の公務員・会社員1万145人を対象に、残業に関するアンケート調査を実施。先日、その調査データをまとめたレポートを公開しました。

今回は残業調査の第4弾として、先日のデータを業種・職種別に集計した結果をご紹介します。

調査結果サマリー

残業が多い業種は「教育」「漁業」「複合サービス」、少ない業種は「医療、福祉」「鉱業」「公務」「電気・ガス」

・「平均的な1カ月の残業時間」について、業種別に集計した結果は次のグラフのとおり。

1カ月に11時間以上の残業をしている比率が高い業種は「教育、学習支援業」で、58.9%であることが分かった。

平均的な1カ月の残業時間(業種別)

・業種別の1カ月当たりの残業時間を集計した結果は次の表のようになった。

1カ月当たりの平均残業時間が最も多かったのは「教育、学習支援業」で29.5時間。次いで「漁業」(26.8時間)、「複合サービス事業」(23.8時間)、「運輸業、郵便業」(23.3時間)、「農業、林業」(21.1時間)、「情報通信業」(19.8時間)という順だった。

逆に、平均残業時間が少なかった業種は、「医療、福祉」(12.6時間)、「鉱業、採石業、砂利採取業」(13時間)、「公務(他に分類されるものを除く)」(15.3時間)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(15.6時間)、「卸売業、小売業」(15.6時間)、「金融業、保険業」(16.9時間)だった。業種別の1カ月当たりの残業時間

残業が多い職種は「教育・保育関連職」「農林水産関連職」「経営者・会社役員」、少ない職種は「事務職」「医療・福祉・介護関連職」「総務・人事・経理職」

・「平均的な1カ月の残業時間」について、職種別に集計した結果は次のグラフのとおり。

1カ月に11時間以上の残業をしている比率が高い職種は「製造系エンジニア(制御・ソフトウェア系)」で、69.7%であることが分かった。

平均的な1カ月の残業時間(職種別)

・職種別の1カ月当たりの残業時間を集計した結果は次の表のようになった。

1カ月当たりの平均残業時間が最も多かったのは「教育・保育関連職」で32.0時間。次いで「農林水産関連職」(29.7時間)、「経営者・会社役員」(28.7時間)、「建築・土木系エンジニア」(28.6時間)、「製造系エンジニア(制御・ソフトウェア系)」(27.3時間)、「クリエイティブ職(広告・出版関連)」(26.5時間)という順だった。

逆に、平均残業時間が少なかった職種は、「事務職」(11.4時間)、「医療・福祉・介護関連職」(12.2時間)、「総務・人事・経理職」(16.1時間)、「サービス職(販売・飲食など)」(16.2時間)、「公務員」(16.5時間)だった。

職種別の1カ月当たりの残業時間

人工知能で業務量はどう変わる? 製造業エンジニアは「1~2割程度は減る」が最多

・こうした残業時間について、人工知能(AI)が進化することで軽減されることはあるのだろうか。製造業エンジニアにAIの進化で業務量が減る可能性はあると思うかと尋ねてみたところ、最も多かったのは「1~2割程度は減る」(21.5%)。次いで「まったく減らない」(17.6%)、「3~4割程度は減る」(16.5%)となった(「よく分からない」を除く)。

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・人工知能によって、製造系エンジニアのどのような作業・負担が減ると思うかと自由回答形式で答えてもらった。主な回答は次のとおり。

<単純作業が減る>

・書類作成や会社関連の雑用等
・資料の仕分けや打ち込み作業
・単純な作業や画像処理などは人工知能で対応できると思う
・データを集めて、まとめる作業

<工場における製造工程を改善できる>

・問題点の初期調査、装置状況の判断等
・機械修理のタイミングがわかるようになり、突発的な業務が減る
・人が品質チェックをする工程や製造ライン内での無人化
・人が行う作業の忘れ、勘違いなどの作業ミスを監視する仕事

<設計関連の一部業務もAIに任せられる>

・設計に基づいたコーディング作業、部分的な設計、検証作業が軽減される
・設計等の作業は減る。ただし、結果が正しいのかの確認が増える
・ルーチンワークになっている設計作業が減り、ヒューマンエラーによるミスのフォローもなくなる

人工知能が進化しても、「新商品・機能の開発」「匠の技」「不具合の解決」などの業務は無くならない

・先の設問とは逆に、人工知能が進化しても、作業・負担が減らない業務もあると考えられる。どのような業務は人工知能が進化しても無くならないか、製造系エンジニアから集まった意見は次のとおり。

<新商品・機能の開発>

・新しい物を創造すること
・創造力が必要な開発業務
・閃きが必要な商品開発
・新機能の開発

<難易度が高い設計>

・想像力が必要な開発設計業務は、効率的になるが仕事はなくならない
・基本的な設計などはできても、そこから応用的な考えまではできないと思います
・私の場合は、設計業務から担当するが、顧客の要求に、短時間で細かく対応する必要があり、現時点で想定するAIでは、アシスタント程度の役割しか担えないと思う

<試作品・一点物の作成>

・ワンオフで作成する、仕様検討のための試作とその評価。
・今の職場で作っている装置は一品一様なのでAIでは対応しきれないと思う
・複雑な一品モノ
・新しい製品の試作またはデータ

<匠の技>

・物造りの領域、匠の技など
・試行錯誤を繰り返すような手作業領域
・感覚の必要な細かい仕上げ作業は代替え出来ないと思う
・職人さんのなせる域
・人の手の感覚に頼る仕事
・手感で見るわずかな狂いなどの調整

<不具合の解決>

・不具合の解決。お客様の使い方や環境、製品の種類や製造バラツキによって、必ずしも正解にたどり着けないと思う。また、製品によってはAIが有効になるまでのデータが蓄積されないと思う
・製品不良やクレームの原因追求
・トラブルが発生したときの対応

<対人業務>

・人を使う仕事。エンジニアといっても、技術系のバードのみではなく、人を使う仕事もある、人の気持ちをAIでコントロールすることはとても難しいので代替するにはもう少し時間がかかると思われる
・顧客の要望を仕様に落とし込む作業
・打ち合わせして、詰めて、修正して、、など。お互いの気持ちを推し量るなど
・設計、営業関連、品質などの客先対応
・業務のやり方をどのように変えるべきか、を考えること

<その他>

・AIを作る人
・電気設計業務ですが、既設の設備を見て手書き図面をCAD化し、変更する場合はAIでは対応出来ません。やはり人が見て判断する必要があります
・製造装置の能力を超える(大きさ、精度、工程…。)製品への対応
・急な変更、理不尽な要求に対する時宜を得た対応
・全て現在の仕事で単純作業は、すでに自動化している。さらに自動化圧力が強まり、単純作業でない部分が自動化される結果、サポート業務が増える可能性が高い
・中国で働いていますがコスト考えればAIよりも現地の労働者の方が圧倒的に安上がりです。労働者の雇用を確保するために仕事を造り、AIを導入することで国が傾く可能性を考えれば少なくとも大規模工事などはAI云々が入り込む余地がないように思います
・CAEエンジニアやデータサイエンティストなどの業種はなくならないと思う。その理由は解析で得られた結果に対して考察が必要だから

調査概要

調査方法:ネットリサーチ
期間:2017年1月12日~19日
対象:全国の公務員・会社員1万145名

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