電気を使わない新素材冷却シートを開発――R2Rで大量生産も可能

コロラド大学ボルダー校の研究チームは、直射日光下でも、水やエネルギーを消費することなく冷却できる新素材を開発した。

この冷却シートは、家庭用アルミホイルより若干厚い50μm厚のガラスとポリマーのハイブリッド素材によって作られている。太陽光を反射するとともに、赤外線を放射する放射冷却によって温度を下げる性質がある。例えば、適切な運転温度を得るために多量の水や電力を利用する火力発電所の補助的冷却手段としての応用が考えられるという。

これまでも放射冷却を応用した冷房は一部地域での住宅の夜間冷房に使用されているが、太陽光による温度上昇が大きい日中に冷房効果を得るのは難しかった。

この冷却シートは、太陽光を十分に反射するよう背面を銀色にコーティングして熱の吸収を抑えつつ、物体からの赤外熱放射を効率的に排出する。直射日光下で1平方メートルあたり93ワットを越える冷却能力が得られるという。また、太陽電池パネルも温度が高まると発電効率が落ちるため、このシートで覆うだけで発電効率を1~2%高められる可能性があるという。

同様の効果を持つパネル等の材料の研究は以前から行われているが、コロラド大学の開発した新素材は、ロールツーロール(R2R:roll-to-roll)プロセスにより経済的かつ大量に製造できるところに特徴がある。チームを率いる同学のXiaobo Yin助教授は「新素材は低価格で量産でき、放射冷却テクノロジの実用性に変化をもたらす力がある。」と述べている。

なお、この研究は2015年に連邦政府から300万ドルの補助金を得ることに成功している。

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Newly engineered material can cool roofs, structures with zero energy consumption

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