余った電力、どうしよう?――圧縮空気を使って地下に電力を蓄える次世代貯蔵技術の研究進む

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余剰電力による圧縮空気の地下貯蔵と、圧縮プロセスで発生する熱の蓄熱層の概念図

ノルウェー産業科学技術研究所(SINTEF)の研究チームが、新しいエネルギー貯蔵システムを検討している。空気を圧縮して岩盤内の洞窟に貯蔵すると同時に、空気が圧縮されるときに発生する熱も地下蓄熱層に蓄える。貯蔵されたエネルギーは、加熱された圧縮空気を用いたガスタービン発電により取り出すというアイデアの概要が、最新ニュースとしてSINTEFのHPで公開されている。

ヨーロッパでは、エネルギー源として風力と太陽光の重要性が高まっているが、これらは気象現象に大きく左右されるため、安定供給のためには電力を貯蔵する施設が不可欠だ。現在、最も安価な貯蔵方法は、夜間の余剰電力を使って貯水池に水を組み上げ、日中に水力発電でエネルギーを取り出す揚水発電だ。しかし、これが利用できるのは、水力発電が可能な山岳地帯のみという地形的な制限がある。

SINTEFがメンバーとして参加する研究プロジェクトRICAS 2020は、エネルギーを貯蔵する方法として、高圧の圧縮空気を使うことを検討している。圧縮空気を利用してエネルギーを貯蔵する施設はすでにドイツと米国で稼働しており、両方とも岩塩採集によって生まれた地下洞窟を利用している。しかし、これらのプラントにおけるエネルギー効率は、高々45~55%であり、空気を圧縮するのに使われたエネルギーの半分しか回収できていないという。

RICAS 2020の研究の特徴は、このエネルギー効率を高めるため、空気の圧縮過程で発生する熱を最大限活用するところにある。自転車の空気ポンプのように、空気を圧縮すると熱が発生するが、この熱エネルギーを破砕された岩石を充填した蓄熱層に蓄えておく。この蓄熱層は圧縮空気をこの蓄熱層に通して加熱してからガスタービンに導入することで、ガスタービンでの仕事量が増大し、エネルギー効率を最大70~80%に向上することができると、プロジェクト・リーダーGiovanni Perillo氏は説明している。

SINTEFでは、圧縮空気を気密にするのに必要となるメンブレンや、地下技術に関する専門知識を駆使し、技術的な仕様検討と詳細なコスト解析を行っている。今後、アイデアを活かしたパイロットプラントが建設されるかどうかは、この研究成果に懸かっているという。

Perillo氏によれば、炭坑や岩塩抗などで廃坑により封鎖された地下空間の再利用を想定し、「圧縮空気の有力な貯蔵サイトとして、廃止されたトンネルや鉱山縦坑を考えており、ノルウェーにはたくさんある。さらに、ライフサイクルが長く、単位電力当たりの設備投資コストが低いという点で、既存のバッテリーよりも優れている」と、その優位性を説明している。

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