熊本大、微細藻類からバイオ燃料を連続抽出する方法を考案

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a) 細胞(赤)と多糖類(ポリサッカライド)(黄)から成るコロニーと、コロニーから出る炭化水素(緑)(x20) b) 密に詰まったコロニーの一部(x60) c) 細胞(赤)と分岐した多糖類(黄)から成るコロニーと、コロニーから出る炭化水素(緑)(x100) d) 単一の細胞(x100)

熊本大学の研究チームが、微細藻類(マイクロアルジェ)から、バイオ燃料となる大量の炭化水素を短時間かつ低エネルギーで抽出する方法を考案した。バイオ燃料の生産効率を向上し、生産コストを低減する方法として期待される。研究成果は、オンラインBioMed Central誌「Biotechnology for Biofuels」において2月13日に公開されている。

植物プランクトンとも呼ばれる微細藻類は、細胞から炭化水素を産生することで知られている。近年、液体化石燃料の代替として、微細藻類を大量培養してバイオ燃料を抽出する技術開発が、米国を筆頭に活発に行われている。バイオ燃料使用時に排出される二酸化炭素は、元々微細藻類の光合成によって大気から除去されたものであり、温室効果ガスの総量増加には寄与しない。更に微細藻類は、単位面積あたりのバイオ燃料収率が、穀類農産物に比べて著しく大きいというメリットがある。

特に、微細藻類の1種「ボツリオコッカス・ブラウニー(Bb)」は、その重量の数十パーセントにも及ぶオイルを含むともに、その成分は酸素原子を含まない発熱量の高い重油相当の炭化水素であることから、バイオ燃料の原料として注目を集めている。ただし、その豊富な炭化水素はBbの細胞間マトリクスに蓄積されており、この細胞間マトリクスが非常に弾性に富んでいるため、圧搾等による物理的な回収が難しく、また有機溶媒も炭化水素に容易に接触できないという問題がある。このため、炭化水素抽出には加熱・乾燥という前処理工程が必要で、生産コストを押し上げる要因となっている。

そこで、熊本大学のチームは、ナノ秒の電界パルス(nsPEF)を使ったBbの細胞間マトリクスからの炭化水素の直接抽出に着目した。そして、nsPEFを加えられたBbの細胞壁は弱まって透過率が高まり、細胞壁を破壊することなくマトリクスから大量の炭化水素を抽出できることを見つけ出した。

研究チームのリーダーで熊本大学パルスパワー科学研究所のHamid Hosseini教授は、「nsPEFによる抽出メカニズムの長所は、炭化水素を細胞から抽出するのではなく、細胞間マトリックスから直接分離する点にある。我々の方法は、これまで必要だった加熱もしくは乾燥工程が不要であるので、コスト低減が図れる。また細胞にとって非破壊的であるので、抽出終了後、微細藻類はコロニーを再生産することができる」と、そのメリットを説明する。

研究チームは、抽出のために最適な電界とエネルギー条件を見つけ出し、さらに抽出量は周波数パルスにほとんど影響されないことがわかった。これにより、短時間に多数のパルスを与えるような大規模産業用システムにおいて、大量の炭水化物を迅速かつ低エネルギーに、そして連続的に抽出できる可能性があることを明らかにした。

関連リンク

A new mechanism for efficient hydrocarbon electro-extraction from Botryococcus braunii

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