島津製作所、シリンダー内の温度とCO2濃度を同時に高速で計測する技術を開発

小型プローブ(左)と小型プローブ先端の検出部分(右)

島津製作所は2017年5月22日、稼働しているエンジンのシリンダー内の温度と二酸化炭素(CO2)濃度をレーザー光学技術によって高速かつ同時に計測する新技術を開発したと発表した。モデルベース開発でのエンジンモデルの精度が向上し、制御の最適化や改良設計の効率化のほか、燃費性能や排ガス性能のさらなる向上が期待できるという。

今回開発された技術では、光ファイバーや光学素子で構成された新開発の小型プローブ先端の直径5mmの検出部分をシリンダーへ10mm挿入。検出部分に複数のレーザー光を通過させ、シリンダーに流れる気体中の水分とCO2の吸光度から温度とCO2濃度を算出する。簡単に挿入できる単一の小型プローブで温度とCO2濃度を最短50万分の1秒周期で計測できるため、燃焼に重要な影響を及ぼす圧縮行程での経時的変化も捉えることができる。

シリンダー内での燃焼の効率や状態はエンジンの出力性能や燃費性能、排ガス性能に大きく影響することから、エンジンメーカーではシリンダー内で燃焼が発生するまでの温度や、排ガスとして残留するCO2の濃度をモニタリングしたいというニーズがある。さらに、自動車用エンジンなどの開発で広く普及しているモデルベース開発(シミュレーションに基づく設計手法)において、モデルの妥当性検証のため、直接的な計測を行いたいという要望が高まっていた。しかし、量産型のエンジンにも適用できる実用的な構成でシリンダー内の温度とCO2濃度をリアルタイムかつ同時に計測することは困難だった。

同社では、外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムを搭載した自動車エンジンの吸気部分のCO2濃度を測定できる製品「EGR-chaser」を2015年に発売している。この装置に利用しているレーザー光学技術を応用し、エンジンメーカーのニーズに応えて、今回の新技術を開発した。
今後同社では、2018年度内に同技術を製品化し、自動車用エンジンメーカーや産業用エンジンメーカーへの展開を計画している。

同技術は、5月24~26日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2017横浜」、および6月28~30日にポートメッセなごやで開催される「人とくるまのテクノロジー展2017名古屋」に出展される。

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