東京農工大と明大、ナッツの殻から機能性グリーンプラスチックを開発

東京農工大学と明治大学による研究グループは2017年6月7日、カシューナッツの殻から得られる天然植物油(カシューオイル)を使用して、環境や人体に有害なホルムアルデヒドなどの化合物を使わず室温で成形可能なグリーンプラスチックを開発したと発表した。成形性に優れ、耐熱性、対薬品性、抗菌特性も有する機能性材料だ。

カシューオイル(カシューナットシェルリキッド;CNSL)は、カルダノールを主成分とし、カルドールや2-メチルカルドールを含むフェノール性化合物の混合物で、フェノール樹脂や塗料、自動車用部材の原料として利用されている。今回の研究では、環境にやさしい非可食バイオマスとして、このカシューオイルに着目。エポキシ化、熱による自動酸化重合を用いたプレポリマー化、アミン化合物との架橋反応あるいは紫外線照射により、室温で成形できるグリーンプラスチック(バイオベースポリマー)を開発した。

開発されたポリマーは、300°C付近まで熱的に安定で、酸/アルカリ/有機溶媒に対する化学的耐久性に優れている。さらに、天然ポリフェノールを反映した黄色ブドウ球菌や大腸菌に対する抗菌特性を持つことも明らかになった。

この材料は、環境や人体に有害なホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)、重金属、強酸等の化合物を使用せずに、室温下でフィルムや樹脂へ成形加工できる。環境調和型のグリーンプラスチックとして、パッケージング材料やコーティング材料、自動車部材、電子材料部材など様々な材料分野へと応用展開が可能だ。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る