ペロブスカイト太陽電池上で光子がエネルギーに変換される瞬間の観察に成功

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フォトンから励起子への変換過程の、テラヘルツ時間分解分光計による測定

米エネルギー省エイムズ研究センターの研究チームが、1つの光子が太陽電池に入射してエネルギーに変換されるわずか1兆分の1秒以下の瞬間を捉えることに成功した。超高速のテラヘルツ分光器により、新しく開発された有機金属ハライド系ペロブスカイト太陽電池における光子から励起子への変換現象の定量化に成功した。研究の詳細は、6月1日に「Nature Communications」誌にオンライン公開されている。

近年、有機金属ハライド系ペロブスカイト半導体が脚光を浴びている。高いエネルギー変換効率を備える伝統的な金属系太陽電池と、安価な材料/製造方法による経済性という有機半導体の特徴を兼ね備えた新しい種類の太陽電池材料としての研究が進んでいる。しかしながら、エイムズ研究センターの科学者でアイオワ州立大学物理学科准教授のJigang Wang氏は「ペロブスカイト太陽電池はまだ新しい材料であり、構造も複雑なため、光子が電子と空孔の対である励起子に転換するメカニズムについては詳しく解明されていない。この材料のもつ優れた特性を理解し、制御することができたら、太陽電池の性能向上への大きな力となる」と語る。

励起子は電気的に中性なので、材料の電気的状態を測定するマルチメーターでは測定できない。そこで研究チームは、光波と電磁波の中間の波長であるテラヘルツ波を用いて1兆分の1秒以下という分解能を実現するテラヘルツ時間分解分光計によって、光子から励起子への転換を定量化することに成功した。励起子の生成と分離だけでなく、その現象の量子的な経路と時間間隔についても明らかにした。

Wang氏は、この発見はエイムズ研究所に在籍する多数の専門分野、材料設計と製作、コンピューターによる理論計算、分析分野の専門家の協力があればこそ達成できたという。「自然界にある光合成プロセスは、生物学的分子における非常に効率的なプロセスだ。その電荷輸送とエネルギー転換を理解し制御することができれば、さらにそれを改善することもできる」とその研究の意義を説明している。

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