東大など、ばね型分子の力学的エネルギーを利用した新・有機合成法を開発

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金属表面で分子を曲げて骨格を変える新しい合成反応

東京大学、京都大学、愛媛大学は2017年7月21日、ばね型有機分子を金属表面に吸着させて高エネルギー状態を作り、そのエネルギーを利用して反応させる有機合成法の開発に成功したと発表した。

有機エレクトロニクス材料は、薄く曲げられる有機ELディスプレイや太陽電池の材料として注目を集めている。その材料を構成する機能性有機分子は従来、フラスコ中での有機合成反応によって作られてきた。しかし、超伝導などの特性を示すある種の機能性有機分子は、数百度の高温でも合成が困難であるという問題点があった。

そこで研究グループは、ねじれた構造を持つばね型有機分子を設計し、金属基板に吸着させてばねに歪みエネルギーを充電。そして、エネルギーを解放させることで化学反応を進めることに成功した。ばね型有機分子は、銅の表面に吸着することでねじれがほどけて平面化し、歪みエネルギーを貯えた状態となる。それを真空中で250℃程度に加熱し、貯えたエネルギーを利用することで、超伝導などに用いられる機能性構造であるフルバレン骨格を合成した。

従来のフラスコの中での有機合成法(左)今回開発した新・有機合成法(右)

さらに、分子の局所的な構造変化を原子間力顕微鏡により検出して炭素骨格を画像化。合成の反応経路を明らかにし、また、反応物を無駄なく生成物に組み換えられる高効率な合成法であることを示した。

原子間力顕微鏡による有機分子の炭素骨格の可視化

今回開発した合成法は、その高い効率から光・電子機能材料の革新的な合成手法となり、また、次世代半導体やエネルギー分野での応用研究も加速するとしている。今後は、従来では合成できなかった物質の開発に取り組む予定だ。

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