バイオエタノールをガソリンに変えると大気中の超微小粒子が30%増加――代替燃料先進国ブラジルでの研究

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代替燃料車で使用する燃料と大気汚染物質との関係に関する興味深い論文が、オンラインジャーナル『Nature Communications』に掲載されている。この研究は、ブラジルのサンパウロ研究財団の支援を受け、サンパウロ市における大気中の粒子状物質の濃度と消費者の行動との関係を2011年1月から5月のデータをもとに分析したものだ。

ブラジルでは1973年のオイルショックを契機に、国策としてサトウキビを原料としたバイオエタノールの生産に力をいれると共に、ガソリンの代わりにエタノールを燃料にするアルコール自動車を普及させた。世界的にもガソリンにエタノールを一定の割合で混入することを義務付ける国や地域が増えている。ブラジルではエタノールを20%混合したE-20が基本だが、現在サンパウロ市内ではガソリンとエタノールを任意の割合で混合(最高E-100まで)して走行できる代替燃料車が半分以上を占めるという。

論文によれば、サンパウロ市において砂糖の国際価格の上昇に影響を受けてエタノール価格が上昇したことで、使用者がエタノールの代わりにガソリンを入れる割合が増えると、朝の通勤時間帯の大気中の100ナノメートル以下の超微小粒子(UFP:UltraFine Particle)の濃度が3割ほど増加し、エタノール価格が下がってまた使用量が戻るとUFP濃度も下がるという調査結果が得られた。各国で規制されているPM2.5(2.5μm=2500nm)などの、より大きな粒子状物質の濃度には変化はほとんど見られなかった。

論文の共著者である、サンパウロ大学物理学研究所のPaulo Artaxo教授は、「UFPは気体分子のように振る舞えるほど小さいため、吸入すると呼吸器の防御システムを通過してしまい、肺胞に到達して呼吸器系統や心臓血管系に影響を与える可能性がある」とし、大気汚染物質として規制されていないUPFに関しても、バスなどの都市輸送機関に使われる燃料のエタノールの比率を高めることで減少させることができると主張している。

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Reduced ultrafine particle levels in Sao Paulo’s atmosphere during shifts from gasoline to ethanol use

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