芝浦工大、セルロースからグルコースへの高効率な変換を促進するカーボン固体酸触媒を新開発

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ソリューションプラズマ(SP)処理の概念図:溶液中の低温非平衡プラズマで 処理中の液温は室温~40℃程度

芝浦工業大学は2017年9月29日、植物に含まれるセルロースからグルコース(バイオエタノールを得るための中間材料となる)への変換を効率的に促進するための、カーボン固体酸触媒を新開発したと発表した。触媒作製も低コストで行うことができる。

石油代替燃料として期待されているバイオマス燃料であるバイオエタノールは、食料系のサトウキビやトウモロコシから合成されているが、将来世界的な食料不足が予測される中で、食料ではなく天然の植物に大量に含まれる非食料系バイオマスのセルロースからバイオマス燃料を製造することが期待されている。

セルロースを用いてバイオエタノールを生産する場合、セルロースからグルコースに変換する必要があるが、変換の際に利用する従来の固体酸触媒は120℃以上に処理温度が上げられず変換効率の向上が難しい。また、従来のカーボン固体酸触媒は作製時に発煙濃硫酸を用いた長時間処理が必要で環境負荷が高いという欠点があった。

今回芝浦工業大学では、溶液中で低温非平衡のプラズマを発生させるソリューションプラズマ(SP)技術を用いてカーボン材料を処理することにより、短時間かつ低コスト、低環境負荷でカーボン固体酸触媒を得る技術を開発した。1mol/l以下の希硫酸溶液中でSPにより30分程放電し、短時間かつ常温環境でカーボンをスルホン化することで新たなカーボン固体酸触媒を生成する。従来必要であった薬品耐性プラントの設備、加熱処理、硫酸回収時の大きな消費エネルギーを必要とせず、環境への影響を低減できる。

SP処理によるスルホン化

この技術で作製したカーボン固体酸触媒は高い耐熱性を備え、この触媒を用いた水熱処理をセルロースに施すことにより、天然の植物や木に含有されるセルロースからグルコースに高効率で変換できる。この触媒を用いてセルロースを変換すると、セルロースから糖類への変化率が最大で30%以上、グルコースの選択性が80%以上であり、従来のカーボン固体酸触媒と同等以上の性能を有しており、市販の触媒(amberlyst 15)より優れていた。またこの触媒は再利用可能で、再利用後の変換効率の低下もほとんどないという。

今回のカーボン固体酸触媒に関しては特許申請も行っており、今後、企業などの共同研究先を見つけ、材料の機能向上や実用化を目指すという。

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