韓国科学技術院大学、高速かつ高感度な水素センサーを開発

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韓国科学技術院大学(KAIST)の研究チームが、金属有機構造体(Metal-Organic Framework:MOF)層で被覆したパラジウム(Pd)ナノワイヤーアレイを使い、高速かつ高感度な水素センサーの開発に成功した。このセンサーは1 vol%以下の水素ガスを7秒以内に検出でき、数百ppmの水素ガスを室温で60秒以内に検出することができる。研究成果は、『ACS Applied Materials and Interfaces』誌のオンライン版に公開されている。

水素は、環境に優しい次世代型のエネルギー源と期待されている。しかし、他のガスと比較して最小着火エネルギーがきわめて低く、小さな火花や静電気でも着火・爆発する可能性がある。水素の爆発下限界は4 vol%であり、水素を扱う設備においては無色無臭の水素ガスを迅速に検出する必要がある。米国エネルギー省が発行する最新のガイドラインでは、水素センサーは1 vol%の水素を60秒以内に検出することが求められている。

これまでパラジウムの水素吸蔵による電気特性変化を利用するPdベースの水素センサーでは、この現象が空気中の酸素分子によって阻害されやすいため、十分な検出感度と応答特性が確保できないという課題があった。これを克服するため、KAISTの研究チームは、MOFでコーティングされたPdナノワイヤーアレイから成る、高速水素ガス検知システムを開発した。

MOFでコーティングされたPdナノワイヤーアレイから成る、高速水素ガス検知システムの概念図と特性

研究チームは、リソグラフによってPdナノワイヤーのパターンを作成、その上からZnイオンと有機架橋配位子から構成されるZnベースのゼオライト・イミダゾール構造体(ZIF-8)でオーバーコーティングした。このZIF-8の薄膜は、Zn(NO3)2・6H2Oと2-メチルイミダゾールを含むメタノール溶液に2~6時間浸漬することで、Pdナノワイヤーの上に形成することができる。

ナノワイヤーを覆うZIF-8は、直径0.34nmのミクロ細孔を有する多孔質で、フィルターとして機能する。すなわち、分子径が0.289nmの水素ガスは容易にZIF-8の層を透過できるが、分子径0.34nm以上である酸素分子や窒素分子は、このMOFのフィルターによって遮断され、Pdの水素分子の吸蔵を阻害することができない。

こうして作られたPdナノワイヤーアレイは、Pdナノワイヤー単体に比較し、室温において20倍も速い応答速度を示し、1 vol%の水素ガスを7秒以内に検出することができた。数百ppmレベルの水素ガスでも、60秒以内に検出することができる。

研究チームを指導する材料科学工学科のIl-Doo Kim教授は、この高速かつ高感度な水素センサーは、水素ガスの漏洩による爆発事故の防止に有効だと考えている。そして様々なMOF層を用いた効果的なナノフィルターを利用することで、空気中の他の有害ガスを正確に検知することができるようになると展望している。

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