東大と東北大、グラフェンとSiCの界面に潜む低エネルギーのフォノンを発見

東北大学と東京大学などは2017年10月19日、シリコンカーバイド(SiC)上に結晶成長させたエピタキシャルグラフェンにおいて、SiC基板とグラフェンの界面に潜む低エネルギーフォノンの存在を明らかにしたと発表した。今回の研究成果は、界面制御によるエピタキシャルグラフェンの輸送特性向上につながり、電界効果トランジスタなどの電子デバイス材料としての応用が進むことが期待できるという。

炭素原子がハニカム格子を成した物質であるグラフェンは、次世代のデバイス材料として期待されている。グラフェンを電界効果トランジスタなどの電子デバイス材料として用いるためには、絶縁体表面上にグラフェンを作成する必要があり、その有力な方法として注目されているのが SiC の熱分解法である。しかし、この方法で得られたグラフェン中での電子移動度が理論値よりも大幅に低下するという問題がある。その重要な原因の一つが、界面のフォノンによる電子の散乱である。しかし、グラフェンの下に潜む界面フォノンを観察することは難しく、その詳細は明らかになっていなかった。

今回の研究では、界面フォノンを観察する方法として走査トンネル顕微鏡(STM)に着目した。STM は鋭く尖らせた金属の針から試料に電子がトンネルする際に流れる電流を測定し、試料の電子状態を観測する実験方法である。トンネル電子が試料中で原子に衝突し、フォノンを励起(れいき)すると、トンネル電子はエネルギーを失い、その結果、トンネル電流が変化する。この、走査トンネル顕微鏡によるナノスケール電流電圧測定と、第一原理計算による電子・フォノン状態解析を組み合わせて、界面の微細構造とフォノン物性を結びつけることに成功したとしている。

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