英グラスゴー大、光学ピンセットを使った電子部品組み立て技術を開発

英グラスゴー大学のSteven Neale教授のグループは、光を利用してスマートフォンやコンピューターなどに利用する電子部品を製造する新しい技術を開発したと発表した。液体の中に浮遊する微小な誘電体をレーザー光を使って捕捉する「光トラップ」と呼ばれる技術を使い、多数の微小半田ボールを同時にコントロールする「光学ピンセット」により電子部品の大量生産に応用するための研究だ。この研究成果は『Optical Express』に論文「Manufacturing with light – micro-assembly of opto-electronic microstructures」として2017年11月7日に掲載されている。

研究チームは、光を照射すると電気伝導度が変わるシリコーン層にレーザー光を照射することで焦点を中心とした電場勾配を生じさせ、シリコーンの液層中に浮遊する微小な半田ボールを捕捉する光学ピンセットを開発した。誘電体は、電場のもっとも強力なレーザー光の焦点付近に引き寄せられるため、焦点を動かすことで、精密に微細な電子部品や半田ボールを配置することができる。さらに、シリコーンで露光パターンを作製すれば、同時に複数の回路形成も可能になる。

このプロセスではパターン形成後に液体を除去する必要があるという課題があったが、共同研究者のShuailong Zhang博士は、フリーズドライ(真空凍結乾燥)技術を利用し、光学ピンセットで配置した部品に影響を与えることなく液体を取り除くことに成功した。

ロボットアームなどを使用する従来の電子部品製造では、極小サイズの部品を取り扱うためには精密な位置制御が必要で、設備コストが高くなるという課題があるが、この光学ピンセットによる電子部品製造が実用化できれば、大幅なコスト削減が望まれる。

研究グループは、直径40μmの微小半田ボールを光学ピンセットで一列に並べ、フリーズドライ技術で液体を除去できることを実証。そして半田ボールを加熱・溶融して回路形成を行い、回路が導通していることを確認した。同グループは、露光パターンを使うことで同時に最大約1万個の半田ボールを捕捉・制御できるとしている。

光学ピンセットとフリーズドライ技術を組み合わせた手法は、半田ボールのみならず、コンデンサーや抵抗などの電子部品、またレーザーやLEDなどの光学部品の製造への応用も期待されている。

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New Approach Uses Light Instead of Robots to Assemble Electronic Components

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