筑波大学、室温付近の未利用熱エネルギーを使った電池技術「熱発電」に成功

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コバルトプルシャンブルー類似体はNaxCo[Fe(CN)6]yの結晶構造

筑波大学の守友浩教授の研究グループは2017年12月8日、コバルトプルシャンブルー類似体を正極と負極に配置したイオン電池型熱発電セルを作成し、28℃と50℃の温度サイクルで熱発電を実現したと発表した。室温付近の未利用熱エネルギーを低コストで電力に変換できる技術だ。

同研究グループではすでに、「熱起電力の異なる電極からなる二次電池を加熱/冷却することにより発電する熱発電セル」を考案している。これは、正極と負極に熱起電力の異なる活物質を配置し室温付近のある温度で起電力がゼロになるようにして素子の温度を変化させると、正極と負極の起電力に差が生じ、放電過程として電力を取り出すことができるものだ。また同グループでは、コバルトプルシャンブルー類似体の熱起電力が組成によって大きく変化することも突き止めており、今回2種類のコバルトプルシャンブルー類似体を用いで熱発電を試みた。

今回使用したコバルトプルシャンブルー類似体はNaxCo[Fe(CN)6]0.71(正極用)およびNaxCo[Fe(CN)6]0.9(負極用)で、この2種類の薄膜を電解析出法でインジウム錫酸化物(ITO)透明電極上に膜厚1000nmで製膜した。電解液はNaClO4水溶液を用いた。まず低温(28℃)で熱発電セルを放電し、セルの起電力をゼロとした後、熱発電セルの温度をゆるやかに上昇させ、高温(50℃)で定電流モードで放電を行った。

プルシャンブルー類似体の比熱よりデバイスに流れ込んだ正味の熱量を評価し、放電曲線からデバイスが発生した電気エネルギーを評価したところ、熱効率は1%と評価された(理論効率は11%)。

今回の熱発電セルの基本技術は、既存の二次電池技術の転用であり、低コストでの開発・製造が可能だ。今後同研究グループでは、より高い熱起電力を示す材料の探索・開発に取り組み、それらを用いて高効率な熱発電セルを開発し、技術の実用化を目指すとしている。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

fabcross
meitec
next
ページ上部へ戻る