理研など、水特有の物理的特性の起源を解明 液-液相転移の臨界点を実証

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実験セットアップ模式図

理化学研究所(理研)とストックホルム大学による共同研究グループは2018年1月10日、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAを利用し、過冷却状態にある水(H2O)の構造を捉えることに成功したと発表した。水が2つの液相間で揺らいており、液-液相転移の臨界点が存在することを実証した。

水は生命に不可欠な液体ながら、他の液体とは全く異なる物理的な特性を示すことが知られている。例えば、ほとんどの物質は冷却されると縮み、密度が増加するが、水の密度は4℃で最高になり、それ以下に冷やすと今度は密度が下がり、膨らんでいく。この他、温度が一定の条件下における圧縮しやすさを示す等温圧縮率や、温度を上昇させるために必要な熱量を表す熱容量などの特性が、冷やすことによって奇妙な振る舞いをする。

水のこの熱力学的な特性については長年議論されており、いくつかの仮説が提唱されている。そのうちの1つに、水には密度の異なる2つの相があり、その間を揺らいでいるという仮説がある。この説では、水の奇妙な特性はこの揺らぎが原因であり、「液-液相転移の臨界点(LCP)」があると考えられている。しかし、温度を0℃未満に下げた過冷却状態の水は不安定で氷になりやすいため、この仮説を検証できるほど十分に冷やされた水を作り、凍ってしまう前に計測を終えることは困難だった。

今回同研究グループでは、直径14μmの水滴が真空中で冷却されて氷になる前の過冷却状態を、XFELで捉えることに成功した。XFELはフェムト秒の超短パルス幅により水の一瞬を切り出して計測することができる。また水の温度は、水滴を作り出すインジェクターとXFELが照射される領域との距離を変えることで制御できる。

水滴から散乱されたX線を検出して構造解析を行ったところ、等温圧縮率は-44℃で最大となり、それ以下の温度では反転することを発見した。また、水に含まれる水素原子(H)を重水素原子(D)に置き換えた重水(D2O)では、この温度が-40℃になることも確認された。これらの結果はLCPが存在することを示すものだ。

同研究グループは、今後、圧力と温度をパラメーターとした相図のどこに液-液相転移の臨界点があるのかが焦点となるとしている。

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