深宇宙でのロボット探査を目指す――パルサーを利用するX線ナビゲーションシステムを開発

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NASAは2018年1月11日、地球を離れた宇宙空間においても完全に自律できるX線ナビゲーションシステムの実証に成功したと発表した。将来、太陽系の遠方や太陽系外に向かうロボット宇宙船の自律飛行を実現する可能性があるシステムだ。実験は、SEXTANT(Station Explorer for X-ray Timing and Navigation Technology:X線タイミングとナビゲーション技術のためのステーション探査装置)により、ミリ秒パルサーを使用して、宇宙空間を時速数千kmで移動する物体の位置を正確に特定するものだ。木星や土星など地球を離れて宇宙に向かうミッションにおいて、自律航法装置としての利用が期待される。

SEXTANTの実験は、中性子星の内部を観測する検出器NICERを利用して行われた。NICERは洗濯機ほどの大きさに、52基のX線望遠鏡とシリコンドリフト検出器を備える。実験は2017年の2月に行われ、4個の非常に安定したミリ秒パルサーを対象とした。ミリ秒パルサーは自転周期が数ミリ秒という超高速で回転している中性子星で、強力な電磁波を発している。自転に伴って発生するあたかも灯台のような一定周期の強力な電磁波ビームが観測されている。

2日間の実験で、ミリ秒パルサーから得られた78個の測定データから、SEXATNATは自律的にNICERの地球周回軌道上の位置を特定するタイミングデータを算出、それをNICERのGPS位置情報と比較した。宇宙ステーションが高度1万7500マイル(約2万8000km)の地球周回軌道上で、SEXTANTがNICERを半径10マイル(約16km)以内の精度で位置を特定することを目標とし、実験を開始後8時間で目標精度内でNICERの位置を特定し、残りの観測時間を使ってさらに精度を上げたという。ベストな実験データは3マイル(約4.8km)だった。

次回の実験は2018年内の予定。今回のシステムの実証を受け、ミリ秒パルサーを利用したX線ナビゲーションを利用した検出器やハードウェアを開発するという。

SEXTANTプロジェクトマネジャーのJason Mitchell氏は、「GPSは地球圏のGPS衛星ネットワークを離れるに従い信号が急速に弱くなる。今回X線パルサーナビゲーション理論が実証されたことで新たな自律ナビゲーションの確立につながり、将来太陽系内や深宇宙での自律的なロボット探査が可能になる」と述べている。

関連リンク

NASA Team First to Demonstrate X-ray Navigation in Space

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