産総研と東大、光子・粒子・電磁波用超伝導検出器の画素数を従来の5倍以上に増大する読出回路を開発

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産業技術総合研究所(産総研)は2018年2月1日、東京大学と共同で、1本の読出線上に従来の5倍となる1000画素以上の信号を載せることができる、超伝導検出器用の信号読出回路を開発したと発表した。汎用型高性能計測器の小型化、低消費電力化、コスト削減に貢献するという。

超伝導検出器は、単一光子・粒子のエネルギーや微弱電磁波強度の精密計測が可能なため、脳磁計、心磁計、分析電子顕微鏡、天文観測用受信器などに用いられている。しかし、室温検出器に比べて受光面積が2~3桁小さく、入射信号の検出効率が2~3桁低いため、少数の画素を走査しながらの撮像となり、室温検出器に比べて一般に測定時間が2桁ほど長くなる。

これらの問題解決には検出器の多画素化が必須となるが、そのために読出線の数を増やすと、読出線経由の流入熱が増えて冷却装置の強化が必要となり、計測器全体の体積・消費電力・価格の上昇につながるという難点がある。これまで、極低温下で複数の画素信号を画素ごとに異なる周波数に変換して多重化し、配線数を減らす超伝導周波数多重読出回路も研究されてきたが、従来技術では、市販の半導体検出器と同等の受光面積が可能となる1本あたり1000以上の多画素化は困難だった。

産総研と東大は共同で、超伝導検出器の出力周波数を、汎用部品で取り扱えるマイクロ波に変換し、画素ごとに異なる周波数の信号として1本の読出線上で多重化するためのマイクロ波帯周波数多重読出回路の研究に取り組んできた。今回開発した技術は、従来は単一だった低周波とマイクロ波の間の変換の基準周波数を、室温処理装置ごとに個別の値に設定した。そして、各周波数帯域用の室温処理装置を複数並列化することにより、全ての画素からの信号を1本の読出線で扱えるようになった。読出回路として重要な、雑音や画素間クロストークの少なさも従来法に劣らないことが実証済みで、分析電子顕微鏡、光子顕微鏡、放射線分光器などへの応用に期待ができるという。

今後は開発した読出回路を、実際に多画素超伝導検出器と組み合わせた動作実証を行うとしており、超伝導検出器を用いる光子顕微鏡にこの読出回路を適用できれば、撮像時間が1/100に短縮する可能性があるとしている。

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