自動車内装品向けの木質意匠パネル、部品の作製技術を開発 産総研など

今回開発した技術で試作した木質パネルや複雑形状部品の外観

産業技術総合研究所(産総研)は2018年2月5日、岐センおよび自動車部品メーカーと共同で、自動車内装品向けの木質意匠パネル、部品の作製技術を開発したと発表した。

同技術は、産総研独自の木質流動形成技術に、岐センの木材調色技術、さらに自動車部品メーカーの金型プレス技術を改良し組み合わせたものだ。

木質流動形成技術は、金属製品のように金型を用いたプレス成形のような塑性加工によって、効率良く任意の形状へのニアネットシェイプ成形ができる技術。製品重さの半分以下の樹脂添加率での複合化により、耐水性や強度などの性能も向上できる。

今回、産総研と岐センは、調色処理で使用する薬剤濃度や温度条件などの調整することで木材の特定の含有成分を変質、除去し、木質細胞壁へ所要の樹脂を浸透、含浸させる流動成形前処理技術を開発。これにより厚さ約5mmまでの木材(ベニヤや挽き板)により均一な前処理を施すことが可能になった。

さらに産総研と自動車部品メーカーは、前処理された素材を用いて熱硬化性樹脂や添加物の選定、調製、配合、またプレス成型条件設定などにより、自動車内装品の要求品質を満たす木質意匠パネルの試作に成功した。

今回開発した手法によって、70×250×5mm程度の単純形状パネルを3分ほどの短時間で高速成形できるようになる。また、木材の種類、木質細胞(繊維)方向、樹脂含有率などを変化させて、構造用材料に匹敵する高強度の木質パネルも得られた。

今後は自動車部材としての採用を目指した共同開発を進め、数年内での製品化を目指すという。また、日用品や情報家電、建築関係部材など、その他の用途への展開を具現化できるパートナーを探すとしている。

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