NASAとボーイング、新型形状記憶合金による主翼端の折り畳みに成功――超音速飛行に有効な技術を実証

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

翼端部が下方に折り畳まれた、無人小型試験飛行機

NASAとボーイングの共同研究チームが、新しい形状記憶合金を使い、飛行中に主翼の端部を折りたたむことに成功した。飛行試験は、NASAのSpanwise Adaptive Wing(SAW)プロジェクトの一部として、アームストロング航空研究センターで行われた。実験では小型無人試験飛行機に新合金製アクチュエータを組込み、飛行中に翼端部を0度から上下70度まで折り畳むメカニズムの性能を実証した。

このプロジェクトの目的は、飛行中に主翼端部を折り畳んで最適な角度に維持するために、最先端の軽量形状記憶合金の活用を検証することだ。飛行中に翼端部を折り畳むことは、音速以下の飛行機においても、制御性や燃料効率を向上させる等、有効であることが知られているが、もっと顕著な効果が超音速飛行において生じるという。

SAWプロジェクトのMatt Moholt氏は、「翼端部を下向きに折り畳むことで、超音速飛行において波乗り状態を実現することにより、空力抵抗を著しく低減できる。また、横方向の安定性が向上するなど、超音速飛行をより効率的にする」と説明している。

これまでも翼端部を折り畳む航空機が設計されたことがあったが、可動式とするために重量物であるモーターや油圧システムを搭載する必要があり、軽量化が必須である航空機にとっては好ましいものではない。そこで研究チームは、NASAグレン研究所により新しく開発された形状記憶合金を管状のアクチュエータへと成形した。このアクチュエータは加熱することで形状記憶合金の管状部分にねじり運動が発生し、翼端部を上下に動かす力として伝達するものだ。新合金は耐久性も高く、顕著な応力が加わっても復元効果は失われない。そして新合金製アクチュエータは、従来の作動機構と比較して80%も軽量だという。

小型無人試験飛行機を使った性能試験において、飛行機は翼を水平にした曲げ角度0で離陸し、その後、搭載制御装置がアクチュエータを加熱または冷却することにより、翼を上下70度までの様々な角度に折り畳ことに成功した。折り畳みは3分以内に達成できた。

Moholt氏は「この技術を実際の飛行条件で実証しただけでなく、どこまで開発できたかを明確にした」とし、「折り畳む速度や滑らかさを含めて、アクチュエータを継続的に改善し、飛行試験を繰り返す予定だ」と、今後の計画を明らかにしている。

関連リンク

NASA Tests New Alloy to Fold Wings in Flight

関連記事

fabcross
meitec
next
ページ上部へ戻る