ガソリンエンジンを革新する――電制モーターでバルブを駆動する電動デスモドロミックシステム「IVA」

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IVAのコンセプト:カムシャフトに代えて、デジタル制御式モーターによりバルブを開閉する

イギリスのエンジニアリング企業Camcon Autoは、ガソリンエンジンの伝統的なカムシャフトに代えて、デジタル制御モーターによりバルブを開閉する、革新的なバルブトレーンシステム「IVA(Intelligent Valve Actuation)」を発明した。同社は、IVAによりガソリンエンジンの燃費と排ガスを最大20%改善できると推定している。詳細は、26th Aachen Colloquium Automobile and Engine Technology 2017において発表されている。

IVAは、一般的なガソリンエンジンのように、クランクシャフトによってカムシャフトを回転させ、カムとスプリングでバルブを開閉させるのではなく、個々のバルブに接続した高トルクモーターで開閉するシステムだ。バルブスプリングを使わずに直接カムとロッカーアームを動かしてバルブを開閉する、いわゆる「デスモドロミック機構」を採用する。その結果、バルブトレーンの駆動に必要なパワーの量を低減し、電子制御モーターによりバルブを最適かつ正確なタイミングで開閉することができる。

IVAの実験はJaguar Land Roverと連携し、同社の2リッター4気筒エンジン「Ingenium」の吸気系にIVAを搭載した。1000時間にわたるローラー走行試験において、すでに可変バルブリフトシステムを採用しているこのベースエンジンに対し、7.5%の燃費改善を実現した。これはIVAの潜在的可能性のごく一部にしか過ぎないという。

Camcon Auto COOのMark Gostick氏は、「最先端の可変バルブ機構においても、エンジン制御に最適なタイミングでバルブを開閉する柔軟性には限度がある。だがIVAを使うことで、バルブ動作のタイミングや時間、リフト量やパターンを最適かつリアルタイムに制御できる」と語る。

さらに、「IVA専用のエンジンを開発する必要はなく、既存のエンジンに組み込むことができる。また、タイミング・チェーンを必要としないため、(全長が短くなり)エンジンルームのスペースが広くなる」と、そのメリットを説明する。

IVAのコンセプト自体は長年議論されてきたが、最近になってようやく技術的に実現可能となった。これは、強力なレアアース磁石や高温用電子デバイス、高速で安価なプロセッサーを始めとする広範な基盤技術の進歩によるところが大きい。

同社は現在、燃焼研究用にIVA搭載1気筒試験エンジンを試作中であり、これにより圧縮損失を低減できる精緻なバルブリフトパターンや、排気ガス浄化システムの最適化など新たな燃焼プロセスの研究を行うとしている。

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Intelligent Valve Actuation – a Radical New Electro – Magnetic Poppet Valve Arrangement

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