東大、スピン波を利用した人工知能用情報処理チップデバイスを提案――超低消費電力高性能端末機器の実現へ

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東京大学は2018年2月23日、スピン波を利用した多入出力情報処理チップデバイスを提案し、それを用いて物理リザバーコンピューティングを実現したと発表した。

IoT社会では、さまざまなモノからのデータを情報処理して活用する。しかし、その膨大な時系列データは、情報ネットワークシステムの効率を著しく低下させる。そのため、端末機器、あるいはその近くでデータ処理と情報処理を行う高性能端末機器の実現が求められていた。

一方、時系列データの学習に適したリザバーコンピューティングという情報処理の枠組みが知られている。リザバーコンピューティングは、ニューラルネットワークを用いた学習手法だが、近年では物理ダイナミクスを利用した物理リザバーコンピューティングも提案され、物理デバイス実装への関心も高まっていた。しかし、これまでは、ニューロン間結合に対応する配線が必要なものか、チップとして実装することが困難なものに限られていたため、大規模システムを集積化するのに適していなかった。

研究グループは今回、ガーネット磁性薄膜上でスピン波の励起(入力)と検出(出力)を行うデバイス構造を考案。リザバーコンピューティングを行うため、スピン波が多様な出力特性を発揮できるように材料定数、外部バイアス磁場の設定をチップデバイスで実現可能な領域で探索した。そして、入力時系列信号により生成されたスピン波の時空間パターンから入力時系列信号のもつ特徴を抽出するように、サンプル信号を用いて学習させた。結果、未知の入力時系列信号に対しても、それがもつ特徴を高い精度で推定できることを確認した。

同デバイスは、波動現象により高密度で柔軟なニューロン間結合に相当する働きを無配線かつチップとして実装できるため、大規模システムの集積化に適しているという。また、超低消費電力高性能端末機器の実現につながることが期待されるとしている。

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