マイナス70度でも作動するリチウムイオン電池を開発

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中国の復旦大学化学部のXiaoli Dong博士らの研究グループは、マイナス70℃の極低温でも動作するリチウムイオンバッテリーを開発した。酢酸エチルベースの電解質と有機ポリマーの電極によって実現したもので、研究成果は『Joule 』に論文「Organic Batteries Operated at −70°C」として、2018年2月28日に記載されている。

従来のリチウムイオン電池は、温度がマイナス20℃に下がると設計性能の50%程度の能力しか出せず、マイナス40℃では室温での容量の12%ほどしか取り出すことができない。マイナス157℃にもなる宇宙空間はもちろんのこと、気温がマイナス50℃になることもあるカナダやロシアの一部地域でも、その使用が制限されることになる。

リチウムイオン電池の性能が0℃以下で低下する主な要因は、低温において、エステルベースの電解質のイオン伝導度が低くなることと、電解液が凍結してしまうことだ。

そこで、研究グループはマイナス70℃でも1平方センチあたり0.2mSと十分な電気伝導度を示し、凝固点がマイナス84 ℃と低い酢酸エチル系電解質を開発した。ただし、このような電解質でもリチウムイオンの溶媒和と脱溶媒和が低温において遅くなり、インターカレーションが十分に機能しないことも解明した。そこで、この電解質に加えて電極に有機化合物を採用することで、インターカレーションに依存せずに電極に分子イオンを継続的に提供できるように工夫した。具体的にはカソードにポリトリフェニルアミン、アノードにナフタレン‐1、4、5、8‐テトラカルボン酸二無水物ポリイミドを利用した有機電極を使うことで、マイナス70℃の低温でも室温の70%の容量を維持することに成功した。

Dong博士らの研究は、電池自体が極低温でも性能を発揮させる技術を編み出し、外部から電池を加熱する添加剤や、追加の液化ガス電解質などに依存しない点で優れている。さらに、従来のリチウムイオン電池に使われている遷移金属を含む電極材料と比較して、有機化合物を使用した有機電極は3分の1程度の価格の原料から製造することができるため、コスト面でも優れている。

Dong博士は、一般的なリチウムイオン電池に比較して、エネルギー密度を高めていく必要があるとし、低温で動作するリチウムイオン電池の実用化に向け、研究を進めるとしている。

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Organic Batteries Operated at −70°C

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