不安定な燃焼状態の前兆を検知する新しい方法論を東京理科大らが提案――複雑ネットワークの基礎理論を導入

東京理科大学と立命館大学の研究グループは2018年3月15日、不安定な燃焼状態の前兆を検知するための新しい方法論の一つとして、複雑ネットワークの有用性を示したことを発表した。今後は燃焼分野における新しいヘルスモニタリング技術の体系化への寄与が期待できるという。

燃焼はエネルギー供給技術として重要な役割を担っているが、燃焼器や燃料インジェクタに致命的な破損を与えることが懸念される「燃焼振動」や、燃焼器への燃料噴射量を減らしていった場合に、化学反応が持続できなくなり火炎が消えてしまう「吹き消え」などの不安定な燃焼状態の発生が燃焼器開発で問題となっている。これら不安定な燃焼状態の発生を事前に検知する技術の開発は、発電用ガスタービンエンジンや航空エンジンなど、さまざまな燃焼器開発において重要視されている。

近年では、複雑ネットワークの基礎理論の体系化が進展し、時系列を数学的な表現であるネットワークへ変換することで、時系列に内在する情報を抽出する試みが行われている。時系列を短い区間で分割し、その時間発展に基づく幾何学的パターン「モチーフ」に着目した解析手法は、力学系の解構造の変化を捉える際に有用となりつつあるが、この複雑ネットワークの基礎理論に着目して不安定な燃焼状態の前兆を検知する方法論は、これまで提案されてこなかった。

今回、研究グループは不安定な燃焼状態として、実験室レベルの燃焼器で発生する燃焼振動と吹き消えに着目。これらの前兆を検知するため、複雑ネットワークの一つである水平可視グラフと垂直可視グラフに着目して実験を行った。その結果、水平可視グラフのモチーフと主成分分析を組み合わせることで燃焼振動の前兆を、垂直可視グラフの平均次数を用いることで吹き消えの前兆を検知できる可能性を発見したという。

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