石英ガラスよりも優れた特性を示す金属有機ガラス「ZIF-62」を発明

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ペンシルベニア州立大学材料工学科のJohn C Mauro教授らの研究グループが、金属と有機化合物をベースとした全く新しいガラスを開発したことを発表した。この研究成果は『Science Advances』に論文「A metal-organic framework with ultrahigh glass-forming ability」として2018年3月9日に発表されている。

液体からガラスを作るポイントは、液体を結晶化に必要な時間を与えずに低温まで急冷することにある。Mauro教授は、「ガラスは液体で、非結晶質の固体状の材料に凍結されているともいえる」とその状態を説明する。 このガラス化に必要な臨界冷却速度が低い材料ほどガラスになりやすく、そのガラス形成能(GFA:Glass Forming Ability)は高くなる。 ガラスの特性のひとつに表面の高い平滑度があるが、これは結晶を持たない非結晶質の特性であり、GFAが高ければゆっくり冷却してもガラス化できるため、表面が滑らかなバルク材をつくることもできる。

最も高いGFAを持つとされる石英ガラス(シリカガラス)は、中心にケイ素、四隅に酸素原子を持つピラミッド構造だ。四隅の酸素原子は、別の三角錐とも共有される。研究者らが開発した金属有機ガラスは、ケイ素の代わりに亜鉛を、四隅には類似した有機化合物 であるイミダゾレートとベンゾイミダゾレートを配し、有機金属構造体(MOF:Metal Organic Framework)を形成した。この亜鉛ベースの金属有機ガラス「ZIF-62」は、ベンゾイミダゾレートがMOFにより多く取り込まれることで、さらに高いGFAを示すことが分かった。

研究チームによると、ZIF-62は石英ガラスを含む50種類のガラスの中で最も高いGFAを持ち、優れた特性を備えているという。ZIF-62は一般的な石英ガラスよりも柔軟性が高いため、これまで石英ガラスが使われていた光ファイバーケーブルや飛散防止ガラス、フレキシブルタッチスクリーンへの応用も考えられる。

ただし、ZIF-62の製造にはまだまだ課題があるという。イミダゾレートとベンゾイミダゾレートを、N、N-ジメチルホルムアミドを溶媒とし、水和硝酸亜鉛と混合して合成する過程が必要であるなど、製造プロセスは石英ガラスよりも複雑になる。

研究者らは、分光法やX線回折法などを用いてZIF-62の材料特性を調べ、さらに溶融ガラスの機械的および光学的特性を測定した。今後は大量生産に向けた製造方法プロセスの研究に取り組むとしている。

関連リンク

Metal-organic compounds produces new class of glass
A metal-organic framework with ultrahigh glass-forming ability

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