片面2層配線構造のメタルメッシュフィルムを開発――フレキシブルタッチパネルの機能向上に貢献

タッチセンサ用片面2層配線構造メタルメッシュフィルムの拡大外観図

TANAKAホールディングスは2018年4月9日、同社の事業会社田中貴金属工業が、片面2層配線構造のタッチセンサー用メタルメッシュフィルムを開発したと発表した。スマートフォンのタッチパネルなどの用途で、高画質化、薄型化、フレキシブル化、耐久性の向上に寄与するという。

現在スマートフォンでは投影型静電容量式のタッチパネルが多く用いられており、そのタッチセンサーには酸化インジウムスズ(ITO)をガラス基板にエッチングした透明電極が主に用いられている。しかしITOは低価格化が困難なことや、エッチング時に出る廃液による環境汚染のへ懸念などから、代替物質の研究が進んでいる。また、ITOは電気抵抗値が高く、折り曲げに弱いために大型化やフレキシブル化が難しいという課題もある。

今回の研究では、以前に田中貴金属工業が開発したメタルメッシュ配線技術を応用し、フィルム片面に銀ナノインク配線回路を重ねて形成することによって、フィルム基板の片面にXセンサーとYセンサーの配線を形成する方法を発見した。同方法で形成した「片面2層構造メタルメッシュフィルム」は、センサー基板が1枚で済むことから低コスト化が可能で、タッチパネルの高画質化や薄型化、さらに強い折り曲げ強度を持たせることが期待できる構造だという。

パターン形成には、低温焼結銀ナノインクとSuPR-NaP法を組み合わせて用いることで、エッチング方式を使わずに、しかも4μm以下の微細配線の形成を可能にした。この方式では長尺フィルムを使ったロールtoロール方式での生産が可能になり、額縁部との一括形成印刷などができることから、生産コスト削減にもつながるという。

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