ダ・ヴィンチのスケッチは正しかった? 量子乱流のユニークな構造を発見

量子乱流(青線)の発達に伴い、常流動の速度分布が変形する

大阪市立大学と慶應義塾大学は2018年4月10日、極低温状態で発生する量子乱流の発達に伴い、常流体の速度分布が大きく変形することを発見したと発表した。

乱流の発生メカニズムや特徴について、理学や工学などの分野で数多くの研究が進められてきたが、まだ十分に解明されていない。

一方、レオナルド・ダ・ヴィンチは約500年前に、乱流のスケッチを描き、“渦”こそが乱流を理解する重要な鍵になると指摘。しかし、“渦”とはいっても定義も存在も不明瞭で、ダ・ヴィンチの提案は十分に確認されていなかった。

ダ・ヴィンチが描いた乱流

物理学においても乱流は解明困難な最終問題の1つとされ、“量子乱流”の研究が解明の突破口になるのではないかと期待されている。両大学の研究チームは、超流体が量子乱流を作る状態における二流体モデルの大規模数値計算を実現することに成功した。

量子乱流の大規模数値計算も複雑でしばらくは不可能なことと考えられていたが、研究チームは超流体の運動を担う量子渦を数式で表した方程式と、常流体の流れを表す方程式を連立させて、大規模な数値計算を行った。これにより、量子渦が成長し毛玉状の量子乱流を作ると、常流体の速度分布が大変形を起こすことを見出した。

量子渦は、身の回りにあふれる普通の流体中の普通の渦よりも、むしろ安定で明確に定義できる。今回の成果により、「乱流は渦からなる」というダ・ヴィンチのアイデアを検証することができたという。また今後は、さらに複雑な流体や乱流挙動の実証が期待でき、乱流現象の解明につながるのではないかと見られている。

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