ネコやクジラ以上の聴力をナノスケールで実現――120MHzで110dBのダイナミックレンジをもつナノデバイス「Drumhead」

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ケース・ウェスタン・リザーブ大学電気工学のPhilip Feng準教授らのグループが2018年3月30日、体積が人間の鼓膜の数10兆分の1、厚さ10万の1という「Drumhead(ドラムヘッド:ドラム打面の皮)」の開発について報告している。硫化モリブデン(MoS2)の原子サイズ薄膜を利用したデバイスで、人間の耳で聞くことができるよりもはるかに高い無線周波数の範囲まで信号を送受信できるという。この研究成果は『Science Advances』に論文「Electrically tunable single- and few-layer MoS2 nanoelectromechanical systems with broad dynamic range」として2018年3月30日に発表されている。

音の受信性能について、低音から高音に至るそれぞれの周波数において、ノイズフロア近くの微小レベルから、歪みを生じない最大音量レベルまで、どれほど幅広く受信できるのかというダイナミックレンジで表される。人間の耳は通常、10Hz~10kHzの音域で60~100dB程度のダイナミックレンジを持つと言われているが、イエネコやマッコウクジラなどの耳は、より高い周波数帯で大きなダイナミックレンジを持つことが知られている。

研究では、MoS2原子薄膜層を用いてナノスケールDrumheadデバイスを開発、半導体結晶の原子層(MoS2薄片の単層から4層まで4種類で実験。各層の厚みは0.7nm)で構成され、直径は約1μmの微小デバイスだ。具体的にはバルク半導体結晶から個々の原子層を剥離し、シリコンウエハー上にデザインされた微細空孔上に原子層膜を張り、次いでデバイスに電気的コンタクトを形成するマイクロ操作技術とナノファブリケーションを組み合わせた。こうして作成したDrumheadレゾネーター/トランスデューサーは、120MHz以上の高周波まで約110dBという高いダイナミックレンジを示したという。

しかもこのDrumheadは、静電気力で膜を伸ばすことによってドラムの皮のようにチューニングすることもできる。高周波数振動の持続に必要な電力測定ではpW(ピコワット)~nW(ナノワット)程度で、驚異的なダイナミックレンジを示し、エネルギー効率も高いデバイスだということが示された。

論文の主著者のFeng教授は、「近年、非常に小型化されたデバイスやシステムが開発されているが、小型化の要求は留まることはない」とし、120MHz以上の高周波までを人間の耳同様の感度で聞き取ることができるこのナノスケールデバイスの成果を説明している。

関連リンク

Case Western Reserve University researchers make dynamic advances with new atomically thin device
Electrically tunable single- and few-layer MoS2 nanoelectromechanical systems with broad dynamic range

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