リチウムイオン電池より数倍高性能――金属リチウム二次電池の実用化を目指す技術開発

金属リチウム二次電池において、多孔質メンブレンがデンドライト成長を抑制することをシミュレーションと実験によって実証した。

デラウェア大学を中心とした国際研究チームが、金属リチウムを電極として利用する際の、より安全で効率的な技術を考案した。高いエネルギー密度が達成できる金属リチウム二次電池の実用化に関して、ボトルネックとなっている金属リチウムの樹状結晶(デンドライト)の析出を抑制するものだ。研究成果は、2018年3月1日の『Nano Letters』誌に公開されている。

スマートフォンや電気自動車など、現在の先端技術はリチウムイオン電池で作動していると言っても過言ではない。このリチウムイオン電池では、電流を発生する負極にはリチウムイオンを捕捉する層状グラファイトなどが用いられているが、さらに高いエネルギー密度を実現するものとして、負極にリチウムそのものを使用する金属リチウム二次電池が考えられている。リチウムは通常のグラファイト負極の約10倍の非常に高い比容量(370mAh/g)を持ち、標準電極電位もグラファイトに比べて低く作動電圧を高くできるため、リチウムイオン電池に比べて大幅に高いエネルギー密度が実現できる。

「だが、金属リチウムは扱うのが大変難しい」と、研究チームを指導する機械工学科教授のBingqing Wei氏は語る。金属リチウム二次電池では、充電時に金属リチウムが負極上に析出するが、その際に鍾乳石のような形状のデンドライトとして成長する。その結果、鋭利な先端が電解質を突き破って正極と負極が短絡し、破裂や発火事故を起こす原因となることが知られている。

研究チームは、このようなデンドライトの生成を軽減する方法として、保護材または電解質として多孔質材料の導入を検討した。まず、数学的モデルを使って、多孔質材料がデンドライトの生成と成長を抑制する可能性を調べたところ、多孔質メンブレンを用いた場合、デンドライトが75%も短くなるという結果が得られた。そこで研究チームはサブミクロンサイズの多孔質なSiNワイヤから構成されるメンブレンを作成、金属リチウム二次電池のセルに装入して3000時間稼働させたところ、デンドライトの成長は見られなかったという。

Wei教授は、「今回得られた知見は、金属基電池分野に大きな影響を与える可能性がある。基本的な考え方はSiNだけに限定されず、他の多孔質構造でも効果を発揮するだろう」とし、亜鉛やカリウムなど他の金属基電池系への展開にも期待を寄せている。

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