コーネル大、電場による2次元磁石の磁界スイッチングに成功

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コーネル大学の応用物理工学科のJie Shan教授らのグループが2018年4月3日、電場を使って厚さ数原子の2次元材料の磁気スイッチング制御に成功したと発表した。今回研究で示された電気的手段による磁気を制御によって、全く新しいデータストレージ技術の実現が期待されている。研究成果は『Nature Materials』に論文「Electric-field switching of two-dimensional van der Waals magnets」として2018年3月12日に発表されている。

1966年にコーネル大学の物理学者David Mermin博士と博士研究員Herbert Wagner氏は、連続対称性をもつスピンの低次元の系においては有限温度で長距離秩序をもたないという定理(Mermin-Wagner定理)を発表している。ここから、2次元材料では自発的な対称性の破れがなく、電子スピンが特定の方向に配向して磁気異方性を示すことはないこと、つまり2次元材料は磁石にならないことが導き出されている。しかし2017年に初めて、電子スピンが適切に配向した磁気異方性を持つ2次元材料(2次元ファンデルワールス磁石)が発見され、ナノスケールでの2次元磁石の研究への扉が開かれた。

共同研究者のMak准教授は、「バルク材料の場合、内部の原子へのアクセスは簡単ではない。だが磁石が単層であれば、薄膜磁石に電場を印加したり、余分な電子を挿入したりすることで、材料の特性を調整することが可能だ」と説明する。

研究では、原子薄膜レベルの誘電体ゲートと電極を持つ三ヨウ化クロムの原子層を二層積層し、電界効果デバイスを作製。このデバイスはヨウ化クロム原子層の電子スピンの向きを小さなゲート電圧で反転させることができ、その反転動作によって磁気スイッチングすることを磁気円二色性(MCD:Magnetic Circular Dichroism)顕微鏡で磁化を測定して確認した。この電場操作による磁気スイッチングは、57K以下の温度で可逆性があり、繰り返し運用できる。

「既存のデータ記録や記憶デバイス技術は磁気スイッチングに基づいた技術であり、今回の発見はエレクトロニクスの未来にとって重要なものだ」と、Shan教授は語る。電子機器内の磁石は電場に反応しないため、電流をコイルに流して発生させた磁場によって磁石をオン・オフしているが、これは電流による発熱と電力消費の点で非効率といえる。

今回開発された薄膜三ヨウ化クロム磁石は、電場を直接に印加して磁気スイッチングを活性化できる。厚さ1nmの薄膜材料に1Vを加えれば、1V/nmという大きな磁界を発生させることができ、わずかなエネルギーで効率的に磁気スイッチングできることが利点だ。

研究チームは、今後室温でも動作する新しい2次元磁性材料を研究するとしている。

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Breakthrough made in atomically thin magnets
Electric-field switching of two-dimensional van der Waals magnets

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