豊橋技科大、カーボンナノチューブの内部孔に赤リンを詰めたリチウムイオン電池電極を開発――現行の電極に比べ電池容量が2倍

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(左)赤リン導入後の元素分析画像、(右)側壁にナノメートル孔を有するCNT

豊橋技術科学大学は2018年5月11日、側壁に孔を開けたカーボンナノチューブ(CNT)の中空孔に赤リンを詰め込んだ高容量リチウムイオン電池(LIB)電極を開発したと発表した。その電池容量は、現行のLIB電極材料のグラファイトに比べ2倍以上となったという。

赤リンは、現行のLIB電極材料グラファイトの約7倍の充放電容量を持つとされ、次世代の材料として注目されている。しかし赤リンは、リチウムイオンの吸蔵・放出による体積変化が大きく、充放電を繰り返すと赤リン粒子の亀裂・剥離・脱落が起こる。その結果、赤リン粒子の量が減少してしまい、電池容量が急激に低下する。また、赤リンは絶縁体であるため、エネルギーロスが大きいことも課題となっていた。

研究グループは今回、側壁に1nmの孔を開けたCNTの中空孔に赤リンを詰め込んだ構造を持つ材料を合成した。CNTは、電気を流しやすいため、赤リンの電気的弱点を補う。また、側壁の孔がリチウムイオンの移動を円滑にし、CNTの中空孔に赤リンが安定に存在することも確認できた。

そして、同材料をLIB電極に適用して充放電試験を実施したところ、50回の充放電試験で、現行材料の約2倍である約850mAh/gの可逆容量が得られた。また、10回の充放電試験以降、充放電効率(クーロン効率)は99%以上の高い値を示し、充放電反応の可逆性が高いこともわかった。

(左)赤リンを中空孔に埋め込んだCNTの充放電曲線、(右)充電・放電容量および充放電効率

しかし現状、充放電を繰り返し行うと、充放電容量が徐々に低下する問題もあり、実用時において充放電反応を長期間繰り返す場合には、更なる電極構造の改質が必要だという。そして今後も、このような高容量LIB電極材料の研究を引き続き進めていくとしている。

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