最も重い素粒子「トップクォーク」の質量起源もヒッグス機構と判明――欧州合同原子核研究機関が発表

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大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のATLAS測定器で実験を行う「アトラス日本グループ」の主要メンバーである高エネルギー加速器研究機構と東京大学は2018年6月7日、欧州合同原子核研究機関(CERN)が同年6月4日午後2時(現地時間)に発表した、LHCでの実験成果に関するプレスリリースの内容について共同で情報提供を行った。

CERNのプレスリリースによれば、最も重い素粒子であるトップクォークとヒッグス粒子が相互に作用していることが、ATLAS実験などのデータから裏付けられたという。具体的には、ヒッグス粒子がトップクォークのペアと一緒に生成されるという極めて稀にしか起きない反応を6.3σの統計的精度で捉えることができたといい、この反応が起こる確率は現在の統計量ではヒッグス機構の予想と一致しているという。

2012年のヒッグス粒子発見により、宇宙は無ではなくヒッグス場で満ちており、素粒子の質量はヒッグス場の動的な性質で生成されていること(=ヒッグス機構)が明らかとなった。また同時に、力を伝える素粒子であるW粒子やZ粒子の質量がヒッグス機構により生成されていることも検証した。それ以降、物質を構成する粒子の質量もヒッグス機構によるものなのかという点が、素粒子物理学上の重要な論点となっていた。

物質を構成する素粒子には三つの世代があり、トップクォークは第三世代の素粒子だ。同じ世代に属するボトムクォークとタウ粒子については、その質量がヒッグス機構により生成されていることが過去の実験結果から示唆されていた。今回の結果を踏まえると、検証困難なタウニュートリノ以外の第三世代の物質粒子について、質量が生成される仕組みがヒッグス機構であることを突き止めたといえ、物質を形作る素粒子の質量の起源の全貌解明に向けて大きな前進となったという。

素粒子物理学の世界では、物質を構成する粒子になぜ極めて大きな質量差があるのか、また何が世代の違いを生んでいるのか、という大きな謎がある。研究グループでは今後、トップクォークとヒッグス粒子の相互作用を詳しく調べる一方、調査の対象を第二世代の物質粒子にも広げ、“世代の謎”にも迫る方針だ。

また、量子論の枠内では素粒子の反応の際に、短時間であれば非常に重い粒子を生成消滅させることができる。もしヒッグス粒子と反応する非常に重い未知の粒子が存在すれば、この極稀な反応に介在し、反応確率が通常のヒッグス機構の予想と異なることも考えられる。そのため、さらに高統計のデータを用いて予想値と観測値のズレを見ることで、新粒子の影響を間接的に見られる可能性もあるとしている。

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