都市大、透明度が高く生成も容易な「セルロース×ガラス」のハイブリッド材料を開発――自動車部品などの軽量化による環境負荷軽減への貢献に期待

セルロース-ガラスによるハイブリッド材料の合成

東京都市大学は2018年6月22日、植物の主成分であるセルロースとガラスから、新しい有機・無機ハイブリッド材料を生成することに成功したと発表した。

セルロースは、地球上に豊富に存在している天然高分子であり、非可食性のバイオマス資源として期待されている。しかし、構造が強固であるため、多くの溶媒に対して難溶で、新しい材料を開発する際の原料物質としては非常に扱いづらかった。近年では、セルロースを使ったセルロースナノファイバーが注目されているものの、一般的な有機溶媒に溶けないという制約とコストが高いという課題があった。

研究グループは今回、セルロースから製造されるアセチルセルロースとガラスの原料であるアルコキシシランから、セルロース-ガラスのハイブリッド材料を開発した。その生成方法は簡単で、両原料を溶剤に溶解し、触媒として塩酸水溶液を加え、室温下で1時間撹拌する。その後、60℃に加温した乾燥機の中で反応を継続させながら乾燥させることで、透明で均一なフィルムが生成された。

得られたフィルムを電子顕微鏡で観察したところ、セルロースとガラスが混ざり合っていることを発見。さらに、示差走査熱量測定およびX線回折分析では、それらが分子レベルで合わさっていることが明らかになった。また、透過率測定を行い、380-1100nmの範囲で93%の高い透過率を有することを確認した。

同材料は軽量であるため、乗用車のガラス部材とボディ材料に利用できれば、車両重量の25%程度の軽量化が見込まれるという。また、包装材料などへの利用も想定され、材料生成時のコスト、時間および環境負荷の低減が期待できるとしている。また、今後は、物性値と配合比の関係や、材料の長期の安定性、そしてより安価な生成方法について研究を進めるとしている。

新材料で代用が期待される部材の例

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