OIST、ガラスの微小気泡に光を照射して微小粒子を高感度に検出することに成功

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WGR(ウィスパリング・ギャラリー共振器)の拡大写真

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2018年7月11日、同大学の研究者がガラスの微小気泡を利用して作製した技術により、微小粒子の存在をより高感度に検出できるようになったと発表した。

円形ドーム型のギャラリーの片側でささやくと、音波が壁に沿って伝わり、ドームの反対側でもはっきりと聞こえるという効果は「ウィスパリング・ギャラリー」として知られている。この現象は、「ウィスパリング・ギャラリー共振器(WGR)」と呼ばれる、人の毛髪にも満たない微小な幅のガラス球内の光を利用して再現できる。

WGRの球内に光が照射されると、球の内面を何度も反射しながら、光学カルーセルを作る。光子が球の内側表面を跳ね返るたび、少量の光が外に逃げるが、この漏れ出た光は「エバネセント光の場」として知られている。さらにこのエバネセント光の場の内側にナノ粒子が来ると、波長を歪め、効果的に場の色を変化させる。この色の変化をモニタリングすることにより、WGRをセンサーとして使用できる。

これまで複数の研究グループが、溶液中の個々のウイルスを検出する目的で、このようなWGRのセンサーを使用している。今回OISTの研究者らは、従来の研究成果をもとに、より感度の高いセンサーを設計した。

今回作製されたWGRは、球というより、むしろ空洞のガラスの泡のようなものだという。OISTの研究者は、理論モデルの研究により、固球体よりも内側に空洞を持つバブル状の球体を用いることで、光の場を大きくできることを示した。大きな光の場を持つことができれば、粒子を検出できる範囲も増加し、センサーの検出性も増加する。

この理論を証明するため、ガラスの気泡をポリスチレンの微小粒子を含む溶液で満たし、その液体で満たされた内部に光の場を生成させるため、ガラスフィラメントに沿って光を当てるという簡単なテストを考案し実施した。その結果、粒子が光の場の範囲内を通過する際、標準的な球状WGRよりも顕著に波長をシフトさせていることが観察された。

新たに開発されたWGRによる実験図。実験に使用される粒子(緑色の点)が光の場を通過する際、光の波長を歪めることで、粒子が検出できるしくみとなっている。

今回作製した新たなWGRは壊れやすいという欠点はあるが作製は容易であり、また安全に運搬できるため、幅広い分野で使用できる。汚染を検知するために水中の毒性分子を検出したり、限られた医療活動しか提供できない僻地で、血液媒介ウイルスを検出する、といった利用が考えられるという。

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