大型物品の3Dプリント素材にセルロースを使用

写真は、FLAMで作られた長さ1.2メートル、30センチの風力発電用の羽根。

シンガポール工科デザイン大学(STUD)の研究チームは、セルロースを基に大型の物品が造形できる3Dプリント素材を開発した。

植物性繊維の主成分であるセルロースは、地球上で最も豊富で広く分布している炭水化物であり、産業副産物でもある。しかし、強度面から大型造形物が作れないこと、製造コストが高いなどの要因により、3Dプリントには使いづらい素材だと考えられていた。

STUDの研究チームは、甲殻類の外皮の主成分であるキチンをセルロースに少量添加することにより、大型造形に使える3Dプリント素材を開発した。「FLAM」と名付けられたこの3Dプリント素材は強く、軽量で、安価であり、木工技術を用いて成形または加工することができる。しかもFLAMのコストは一般的なプラスチック並みで、PLAやABSなどのフィラメントに比べ10分の1だという。

FLAMは、自然環境下で完全な生分解性があり、堆肥化施設も必要ないという。研究チームは、偏在する生物学的ポリマーを用いる3Dプリンティング技術は、環境に優しい循環型製造モデルへの移行を促進するものだと考えている。

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Large-scale additive manufacturing with bioinspired cellulosic materials

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