京大ら、80年にわたり探索が続けられてきた幻の粒子「マヨラナ粒子」の実証に成功――トポロジカル量子コンピューター実現に期待

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京都大学、東京大学、東京工業大学らの共同研究グループは2018年7月12日、幻の粒子として素粒子物理学を中心に探索が続けられてきた「マヨラナ粒子」の実証に成功したと発表した。

物質を構成する陽子や電子はフェルミ粒子と呼ばれ、通常は反粒子が別の粒子として存在する。一方で、粒子と反粒子が同一という特異な性質をもつ中性のフェルミ粒子が、素粒子の一つとして1937年にイタリアの物理学者エットーレ・マヨラナによって予言されていたが、この理論的予言から80年以上経ってもマヨラナ粒子の存在の確証は得られていなかった。しかし近年になって、ある種の超伝導体や磁性体でマヨラナ粒子が出現する可能性が指摘され、大きな注目を集めてきた。

今回、共同研究グループは蜂の巣状の平面構造をもつ磁性絶縁体の塩化ルテニウム(α-RuCl3)の量子スピン液体状態において、一定の温度下で磁場を変化させながら熱ホール伝導度を非常に高い精度で測定した。その結果、ある範囲の磁場で熱ホール伝導度が磁場や温度によらずに量子力学で規定される普遍的な値(量子化値)の半分の値で一定となること(半整数量子化)を見出し、マヨラナ粒子の実証に成功した。半整数量子化は理論的には予言されていたものの観測例はなく、今回の研究が初の実験的証明となった。

さらに、これまでの超伝導体を用いた研究では、マヨラナ粒子による量子化現象が期待される温度は極低温(1/100ケルビン程度)に限られていたが、同研究ではそれよりも2桁以上高い温度(5ケルビン程度)で半整数量子化が観測され、高温でマヨラナ粒子にまつわる量子化が出現することが明らかになった。

今回の研究によってマヨラナ粒子の決定的証拠を示すことができたほか、新しい量子凝縮体である量子スピン液体のトポロジカルな性質も証明できた。今回の対象物のように電子同士が強く相互作用し合う物質(強相関電子系)のトポロジカル物性は未開拓であり、今後の研究の展開により新しい量子現象の開拓が期待できるという。さらに、量子スピン液体に現れるマヨラナ粒子の制御法を開発することで、高温でも動作可能なトポロジカル量子コンピューターへの応用が期待できるとしている。

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