九工大ら、ナノ材料で脳機能の一部を再現――カーボンナノチューブと分子の乱雑ネットワークが神経様スパイク発火を可能に

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九州工業大学は2018年7月12日、大阪大学と共同でカーボンナノチューブとポリオキソメタレート分子の高密度ネットワークデバイスを作製し、神経細胞(ニューロン)のスパイク発火に似た、インパルス状の信号を発生させることに成功したと発表した。

また、大阪大学と北海道大学らのグループとの共同研究で、特殊な電荷貯め込み特性を持ったランダムネットワークモデルのシミュレーション計算からスパイク発火の機構を提案し、これらの機能が将来的に人工知能や超高速計算をもたらすニューロモルフィックデバイスを構成する材料として期待できることを示した。

ニューロモルフィック工学の分野ではチップや回路、デバイスといった、計算機(ハードウェア)となりうる構成要素を一から脳の形に組み立て、脳の優れた能力を再現しようとしている。現在の脳科学の発展から、脳神経回路の重要な構成要素がシナプスの持つ学習能力とニューロンの発火機能であることが理解され始めているが、実際の脳の構造は複雑すぎるため、それを完全に真似することはまだできない。

そのため、現状では脳の一部の仕組みを単純化して模倣した脳型回路やデバイスによってその機能を再現しようとする取り組みが盛んに行なわれている。しかし、これまでニューロモルフィックチップの開発において、自発的なスパイク信号の発生とその伝達の機能は十分に利用されていなかった。

今回の研究結果は、ナノ分子材料によって小型の自発的スパイク信号を発生する独立デバイスの作製を可能にしたことに加え、分子をつなぐ乱雑なネットワーク自体が脳型人工知能となる可能性を示しており、ニューロモルフィック工学分野の発展における大きな寄与が期待できるという。

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