低エネルギーで複数電子を授受できる超原子を作成――高効率のバッテリーや半導体の実現が視野に

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米バージニアコモンウェルス大学のKhanna教授らの研究グループは、低エネルギーで複数の電子の授受が可能な超原子を作成する方法を発見したと発表した。効率的なバッテリーや半導体の開発につながる可能性がある。研究結果は、2018年6月15日の『Nature Communications』に掲載された。

超原子とは、複数の原子が結合し、元素周期表の他の元素に似た特性を示すクラスターのこと。通常の原子は複数の電子を供与するには非常に多くのエネルギーを必要とするが、超電子には構造安定性を維持しながら複数の電子を授受できるものもある。そうした特性を持つ超原子を形成することが、より効率の良いバッテリーや半導体を製造するための鍵になると研究グループは考えた。

電荷を効果的に移動させるには、そうした特性を持つ元素をどのように模倣するかが重要になる。研究グループは、アルミクラスターを有機リガンド(配位子)と結合させると、エネルギーレベルを損なうことなく電子の授受ができることを 示した。

配位子は電荷移動錯体を形成し、結晶場のような効果によって電子スペクトルを持ち上げる効果がある。アルミクラスターにはホウ素、炭素、ケイ素とリンをドープ。配位子には、金属原子と結合してそれらの保護と安定化が示されているN-エチル-2-ピロリドンを使用して、それぞれ配位子の効果を確認した。

配位子が結合するとイオン化エネルギーが低下し、配位子の数を変えることでイオン化エネルギーを制御することができると判明した。配位子効果は超原子の電子殻占有率に依存しないため、複数の電子供与も可能になる。配位子効果と電子殻の充填効果を組み合わせると、非常に低いイオン化エネルギーを持つ複数電子の供与体を作成できる。

Khanna教授は「リガンドを使うと原子のクラスターを電子の供与体か受容体に変えられる。われわれは周期表のどの元素よりも強い電子供与体を形成することができた」と語り、「複数の電子を授受する構造を作れるようになれば、エレクトロニクス分野で広く利用できるだろう」と期待を込めた。

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