上智大学ら、銅酸化物高温超伝導体で2次元の強磁性ゆらぎを観測――高温超伝導体の磁性状態の全貌が明らかに

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銅酸化物高温超伝導体の物性相図

上智大学は2018年8月3日、東北大学、理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構、J-PARCセンターと共同で、銅酸化物高温超伝導体で2次元の強磁性ゆらぎを世界で初めて観測したと発表した。

超伝導は、リニア新幹線や磁気共鳴診断装置(MRI)などに応用されている。しかし、従来の超伝導材料では、臨界温度が低く、液体ヘリウムや冷凍機が必要となっている。一方、銅酸化物で見られる高温超伝導は、臨界温度が液体窒素温度(-196℃)を越える。そのため、応用に向けた研究とともに、メカニズムを解明するための研究も活発に行われている。

銅酸化物の高温超伝導体では、反強磁性の絶縁体物質に正孔または電子キャリアを注入すると超伝導が発現し、さらにキャリアを注入すると超伝導は消失する。しかし、このとき、なぜ超伝導が消失するのか、また、磁性状態がどうなっているのか、その原因は不明だった。

そこで研究グループは、正孔を大量に注入したビスマス系銅酸化物の電気伝導特性、磁気特性、熱特性を測定。その結果、2次元の強磁性ゆらぎを世界で初めて観測した。また、キャリアの注入とともに反強磁性から強磁性へと磁性状態が変化することも解明した。超伝導が抑制された物質では強磁性ゆらぎが観測されたことから、強磁性ゆらぎが高温超伝導を阻害している可能性があるという。

超伝導が消失した物質の磁化の磁場変化

この成果は、高温超伝導の研究に新たな道を示すとし、今後、高温超伝導の発現メカニズムを解明する研究の加速が期待されるとしている。

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