IoT機器やウェアラブル機器などの小型化/低消費電力化に貢献――村田製作所、世界最小の「32.768kHz MEMS 振動子」を開発

村田製作所は2018年10月4日、IoT機器やウェアラブル機器などの小型化/低消費電力化に貢献する世界最小の「32.768kHz MEMS 振動子」を開発したと発表した。

小型化/長時間稼動が求められるIoT機器やウェアラブル機器において、構成する電子部品にも一層の小型化や省電力化が求められている。特に半導体集積回路が動作する際の基準クロック信号を創り出す受動部品である「振動子」は常時動作し続けているため、消費電力が低い製品へのニーズが高まっている。

今回開発した「32.768kHz MEMS 振動子」は、自動車業界などでの採用実績を持つMurata Electronics OyのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)技術を活用し、0.9×0.6×0.3mmという従来型の32.768k kHz水晶振動子よりも50%以上小さい製品サイズを実現。一方で水晶振動子と同等の初期周波数精度(±20ppm)以上の周波数温度特性(160ppm以下)を実現する(動作環境は-30~85℃)。

通常、基準クロック信号を生成する回路には、積層セラミックコンデンサー2個分が必要となるが、同開発品には6.9pFの静電容量を内蔵。これにより実装時の大幅なスペース削減が可能となり、さらなる自由な回路設計に貢献する。

また、一般的な水晶振動子では小型化するほどESR(Equivalent Series Resistance、等価直列抵抗)が高くなる課題があったが、同開発品は低ESR(75kΩ)化により半導体集積回路のゲインを下げることで、安定した基準クロック信号を生成しつつ、従来比13%減という低消費電力を実現する。シリコン材料を用いたWL-CSP(Wafer-Level Chip Scale Packaging)パッケージにより、同質の半導体集積回路への内蔵実装が可能だ。

村田製作所は同開発品をMEMS振動子「WMRAGシリーズ」として、2018年12月から量産開始を予定。また、2018年10月16日〜19日に幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2018」の自社ブースにて同開発品の展示も行う。

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